2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17606
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
片岡 章雅 国立天文台, 理論研究部, 特別客員研究員 (70749308)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 偏光観測 / ミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、惑星形成の第一段階であるダストの合体成長過程をミリ波観測を使って制限することを目標としている。更に、ダストの内部密度にも制限を加える予定である。ダストの半径と内部密度を独立に求めるために、ミリ波偏光観測を提案する。赤外線観測では中心星の光を円盤表層のダストが散乱するため、その偏光成分の観測が盛んに行われてきた。これに対しミリ波では、ダストによる散乱は非効率だと思われていたこと及びミリ波での明るい光源がないことから、ミリ波での散乱による偏光は考えられてこなかった。ところが、円盤内ではダストが付着成長しサイズが大きくなるためミリ波での散乱効率が上がる。更に、非対称な面輝度分布をもつ円盤の場合、ミリ波放射のピークが光源のように振る舞い、非対称性から自身のミリ波放射を散乱することによる偏光が観測される可能性がある。そこで我々はまず、非対称円盤における偏光分布をダストのサイズや内部密度に応じて理論的に計算し、観測可能性を議論した。その結果、ダストが観測波長程度のサイズであれば、十分に偏光を検出できることが判明した。この結果は、従来ミリ波偏光が磁場の観測をしていると思われていたこれまでの通説を覆すものである。我々は本理論計算の結果を出版した。更に、本理論の計算結果を応用し、これまでに唯一ミリ波偏光が検出された原始惑星系円盤について、本理論で説明できることを示し、論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、観測予測は成功し、ミリ波偏光が検出できることが判明した。本成果は既に論文として出版した。更に、従来の観測への応用についても成功し、論文として出版している。そのため初年度の目標であったミリ波観測予測の理論構築は当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ALMA望遠鏡にて実際に観測を行い、我々の理論と照らし合わせることでダストのサイズを制限する予定である。本観測は既に始まっており、2016年夏頃にはデータが取得できる予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では初年度に多くの国際会議に出向き成果を宣伝する予定であったが、重要な国際会議が2016年5月に予定されていたことから、次年度に旅費を繰り越して使うことが妥当と判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年5月に行われる国際会議の旅費として用いる。
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Research Products
(5 results)