2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K17606
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
片岡 章雅 国立天文台, 理論研究部, 特別客員研究員 (70749308)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 偏光 / 惑星形成 / 電波観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、従来の唯一の原始惑星系円盤におけるミリ波偏光観測であったHLTauについて、2015年に我々が提唱したダスト散乱による解釈のし直しをおこなった。その結果、従来磁場による整列由来だと思われていた偏光は、ダスト散乱に起因している可能性があることを指摘した。本結果はアメリカの学術雑誌Astrophysical Journalに出版した。 更に我々は、ALMA望遠鏡を用いて原始惑星系円盤HD142527を偏光モードで観測し、初めて後期段階の原始惑星系円盤からの偏光放射の検出に成功した。従来ミリ波における偏光は磁場に寄る散乱が期限だと考えられていたが、我々が2015年にダスト散乱による偏光がありうることを示唆していた。今回の観測では、偏光ベクトルの向きから、原始惑星系円盤における偏光は従来考えられていた磁場起因ではなく、我々の提唱する散乱起因であることがわかった。この結果は、原始惑星系円盤の偏光観測の解釈を大きく変える観測であり、世界的に注目されている。また、本研究の結果ダストの最大サイズが150ミクロン程度であることもわかった。これは、従来のスペクトルから推定した1cmのようなサイズより優位に小さい。このことから我々は、少なくともダストの解釈に関する何かしらの仮定が間違っていることを突き止めた。更に、低密度ダストアグリゲイトがこの矛盾を解決する可能性があることも指摘した。本結果はアメリカの学術雑誌Astrophysical Journal Lettersに出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ALMA望遠鏡の観測提案の採択率は未だ低い中、我々の観測提案はtop10%に与えられるGradeAで採用された。更に観測の結果我々の提唱するダスト散乱に起因する偏光の証拠を掴み、更に論文の出版までこぎつけた。この結果は、我々の理論が正しかったことを主張するだけでなく、今後の原始惑星系円盤の偏光観測の先駆的論文となるといえ、当初の想定以上に順調な結果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ALMA望遠鏡に採択された観測提案を使って、ミリ波偏光の波長依存性を調べる。これによって、原始惑星系円盤における偏光成分のうち、整列と散乱を区別することが出来ると期待される。この区別を行って初めてダスト散乱の定量的な理解が可能となり、最大の目標であるダストアグリゲイトの内部密度の測定につながると考えられる。観測提案は既に採択・観測が実行されており、論文の出版には問題ない段階まで研究は進んでいる。
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Causes of Carryover |
本年度は論文の出版に注力し、研究会等への出張は少なくなった。その分、最終年度である次年度は研究会等にて口頭発表を行い、成果の宣伝を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会における口頭発表のための旅費等に利用する。
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Research Products
(11 results)