2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17611
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
政田 洋平 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (30590608)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 太陽 / 磁場 / 磁気流体力学 / ダイナモ / プラズマ / 宇宙天気 / 宇宙気候 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は拡散(粘性、磁気、熱)入りの3次元磁気流体方程式をスーパーコンピュータを使って数値的に解くことで「太陽内部熱対流によるダイナモ機構」を物理定量的に明らかにすることを目的としている。平成27年度は計画初年度にあたり「対流ダイナモの発現条件」と「磁場の極性反転を特徴づける物理」の定量解明を目指し研究を行った。まず、より現実的な条件下での対流ダイナモの発現条件を調べるために、これまで用いてきた弱密度成層型の計算モデル (Masada & Sano 2014a,b)を、現実の太陽内部を模した強密度成層型計算モデルに拡張した。スパコンを使った超長時間積分計算と取得データの解析、理論解釈の結果、今年度は主に以下の4点を明らかにした: 1. 密度成層の強弱に寄らず乱流起電力によって駆動される大局的ダイナモが生じる 2.対流ダイナモによって生成された大局的磁場が、強密度成層下では、対流層表面近傍で黒点状磁場構造を自発的に形成する (黒点状磁場構造の形成は弱密度成層下では起こらず、強密度成層下に固有の現象) 3. 対流ダイナモの発現は「修正ダイナモ数」によってコントロールされる。修正ダイナモ数は我々が新たに見出した無次元量であり、乱流アルファと乱流パンピング、乱流磁気拡散に関連する3つの項の寄与で記述される。特に乱流パンピング項の寄与は強密度成層下に特有のものであり、従来研究では無視されていた。 4. 平均場モデルにもとづく線形理論を、磁場の3次元的発展と乱流係数の動径分布(乱流係数の微分項)を考慮した上で再考し、「対流ダイナモの発現条件」, 「磁場の極性反転をコントロールする物理量」, 「対流層表面での黒点状磁場構造の形成条件」をそれぞれ定量的に明らかにした。(1),(2)の成果については、すでに論文として受理されている(Masada & Sano 2016, ApJL)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では平成27年度は「対流ダイナモの発現条件」と「磁場の極性反転を特徴づける物理」の定量解明を研究の目標に据えていた。今年度実施した研究の結果、「対流ダイナモの発現条件」と「磁場の極性反転を特徴づける物理」の両方を解明することができ(上記成果3と4に対応)、加えて「強密度成層下では黒点状の磁場構造が自発的に形成される」ことも発見した(上記成果2に対応)。これは研究実施前は全く予測していなかった事象であり、太陽黒点形成のほぼ全てのエッセンスが我々が実施した計算でキャプチャーできていることを意味している。対流ダイナモから黒点状磁場構造の形成までのセルフコンシストな計算に成功したのは我々が初めてであり、太陽ダイナモ研究にとって極めて重要性が高い。今年度の成果の一部をまとめた論文もすでに一本出版されており(Masada & Sano 2016, ApJ Letters)、その他の複数の成果の論文誌上での発表も現在準備中である。よって、当初の計画以上に研究が進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、平成28年度は「太陽全球磁気流体計算モデルで黒点形成領域を特定する」ことを目標に研究を進める。ただし、全球を素直に解くシミュレーションでは解像度の不足が懸念される。よって、グローバルな球ジオメトリを維持したまま高解像度化を実現できるspherical-wedge (Kapyla et al. 2010) を計算領域として採用することも検討する。spherical-wedgeとfull-sphereではダイナモに関する計算結果はほとんど変わらないことが示唆されているが (Kapyla et al. 2012)、幾つかの追検証を行い、その一致を我々自らconfirmした上で、spherical-wedgeに強密度成層大気モデルを実装する。また当初計画に加えて、平成27年度に発見した強密度成層下に特有の「対流層表面近傍での黒点状磁場構造の自発的形成」の物理機構についても、より定量的に調べる予定である。
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Research Products
(13 results)