2015 Fiscal Year Research-status Report
ALMAによる俯瞰撮像で探る大質量原始星近傍のダイナミクス
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15K17613
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
元木 業人 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 特任研究員 (10722803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大質量星形成 / 電波天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に(1)「南天におけるALMA観測天体候補に対する探査」、(2)「雛形天体に対するパイロット観測の提案」を中心に研究を行った。(1)については豪州の電波干渉計ATCAを用いた3mm帯でのフェイスオン天体探査を7月と8月に各3日間実施した。特に本計画の雛形天体であるG353については本年度取得されたN2H+分子輝線のデータから、星団形成クランプ(104 AUスケールの)から中心星を取り巻く降着エンベロープ(103 AUスケール)へと繋がる降着流の兆候が発見された。この結果は過去にJ-VLAを用いて我々が行ったNH3輝線観測の結果と良く一致している。特にN2H+はNH3よりもさらに外側の低温領域までブリッジ状構造が伸びており、大スケールからの質量流入の存在をより強く支持する結果である。これについては天文学会および各種研究会にて成果発表を行った。現在他の天体についてもデータ解析を行っている最中である。 (2)についてはALMA cycle 3およびすばる望遠鏡にG353の高分解能観測の提案を行った。残念ながらALMAについては不採択となってしまったが、すばる望遠鏡による観測は無事採択され、現在観測を待っている状況である。 また本年度は共同研究者であるAndrew, J. Walsh氏を豪州より招いて本計画に関するミニワークショップを7/22に実施した。共同研究者を中心に大学院生7名を含む17名が参加し、16件の口頭発表が行われた。特に大学院生に関しては当該科研費から旅費の補助を行った。また同氏にはその後国立天文台三鷹キャンパスに1週間滞在を依頼し、共同研究の打ち合わせとG353に関する投稿論文の執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATCAを用いた準備観測については本年度で無事全ての観測が終了し、現在はデータ解析段階へと移行している。特にG353において新たに発見された階層的な質量降着の兆候は、星近傍に存在する降着ガスの起源に関連する重要な発見であり、本計画の科学的意義のさらなる拡張が期待される。一方、残念ながらALMA Cycle 3に対する観測提案は不採択となってしまったため、パイロット観測に対しては若干の遅れが出ている。一方ですばる望遠鏡の補償光学を用いた高分解能観測は予定通り採択された。同観測の空間分解能はALMA Cycle3とほぼ同程度であり、星近傍での星周構造については一定の情報が得られると期待される。したがって全体としては概ね当初の予定通り進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はATCAによるフェイスオン天体探査データの解析を進め、査読論文としての投稿を目指す。合計5つの波長帯でのデータがあるが、G353で発見されたような階層的降着構造に特に着目し、N2H+輝線を含む3mm帯の論文を優先して論文化する予定である。 パイロット観測については本年度のALMA Cycle 4に対してすでにリカバリーの観測提案を提出済みである。Cycle4の通常観測提案における空間分解能はCycle 3に対して5-10倍程度向上しており、さらに鮮明な星周構造の俯瞰図が得られると期待される。また新たに見つかった階層的な降着構造の詳細観測についても別途Cycle 4に対して提案を行った。無事両方が採択されれば降着率の比較などから、G353における星形成の初期環境や詳細な星形成モードに関する示唆が得られると期待される。 すばる望遠鏡については現在観測を待っている状況である。無事データが取得され次第解析を進め、構造やSEDのモデル作成を行う予定である。また実際に取得されたデータを元に赤外線での多天体観測提案を準備する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] The discovery of new AGN candidates within the field of Fermi unassociated γ-ray sources2016
Author(s)
Fujinaga, Yoshitaka; Niinuma, Kotaro; Kimura, Atsushi; Fujisawa, Kenta; Oyama, Tomoaki; Mizuno, Syota; Kono, Yusuke; Takemura, Shinji; Sawada-Satoh, Satoko; Akutagawa, Kengo; Sugiyama, Koichiro; Motogi, Kazuhito; Fukuzaki, Yoshihiro
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 未定
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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