2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studying the structure and dynamics in face-on high mass accretion systems by ALMA
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15K17613
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
元木 業人 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教(テニュアトラック) (10722803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大質量星形成 / 電波天文学 / ALMA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はALMA長基線による雛形天体G353の観測が無事実施された。これにより真上からみた大質量原始星周りの降着円盤を世界で初めて空間分解することに成功した。ダストの熱放射によって検出された円盤のサイズは半径250天文単位であり、現時点で観測されている全ての大質量原始星の中でも最も内側を観測した例の一つである。特に円盤の外縁部で見られた非一様かつ塊状の構造はこれまでに想定されていた比較的安定した降着円盤とは程遠いものであった。 円盤の質量、温度などを用いて重力的安定性を解析したところ、極めて不安定であることが定量的にも示された。このことから円盤内の塊状の構造は円盤が自己重力によって分裂していく過程を見ている可能性が高いと推定される。このように円盤の重力不安定性をはっきりと捉えた例は低質量の原始星も含めて世界でも初めてであり、現在査読論文を準備中である。 またタノール分子の観測から円盤の外側には回転しつつ円盤へ落下していくガス流が存在していることも明らかになった。ガス流が持つ角運動量から予想される遠心力バリアの位置はダストで検出された円盤のサイズと概ね一致しており、落下してきたガスが遠心力でせき止められて円盤に蓄積することで重力的に不安定になっていることが推定された。このような過程を空間的に分解して捉えた例も大質量星では世界で初めてである。 さらに真上から円盤を見込んでいるにもかかわらず、ダスト放射が中心付近で光学的に厚くなっていることも明らかになった。このことは円盤を真横から見込むような一般的天体では大質量原始星近傍が観測困難であることを示しており、「より内側を見るためには真上から円盤を見る必要がある」という本研究の動機が正しいことが裏付けられた。 これらの結果を元に2018年3月22-23にかけて山口大学にて関連研究者を招いた国際ワークショップを開催した。
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Research Products
(16 results)