2017 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction of mass loss rate from stars based on the solar coronal heating mechanisms
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15K17621
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 琢磨 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (50728326)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 太陽コロナ / 太陽風 / MHD / 波動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1940年代にコロナが高温であることが発見されて以来、その加熱機構に対して多くの理論が提唱されてきた。競合する理論のうちどれが最も支配的なのか?この答はおそらく太陽の領域ごとに異なる。高速太陽風が噴き出ている太陽極域では、対流によって励起されたアルフベン波による加熱が最も有力視されている。平行平板大気モデルではアルフベン波は非線形性によって急峻化し衝撃波を形成することでエネルギーを散逸する。対流によってはき寄せられた磁場が形成するシート状構造のような2次元性を考えた場合には、位相混合と呼ばれる過程で乱流が駆動される。また、3次元性まで考慮するとアルフベン波の衝突で駆動される乱流が発生する。アルフベン波を介するこれらの過程のうちどれが支配的なのか、その競合関係を調べるのが本研究の目的である。そこで3次元的なアルフベン乱流の効果を調べるため、コロナループの3次元MHDシミュレーションを行った。その結果得られた加熱率は局所的かつ間欠的になっていた。加熱率が上昇するタイミングや場所はちょうど、アルフベン波の衝突に対応しており、3次元的なアルフベン乱流が駆動されていることを示唆するものであった。またこのような局所的・間欠的な加熱はナノフレア仮説と呼ばれるコロナ観測をよく説明するための仮説と整合的である。ナノフレアは波動を伴わない準静的な過程で起こると考えられているが、本研究により波動を介してもナノフレアが生じることが実証された。
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