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2015 Fiscal Year Research-status Report

低エネルギー中性子線源を用いた暗黒物質-原子核散乱プロセスの理解

Research Project

Project/Area Number 15K17625
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

市村 晃一  東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (80600064)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords中性子線源 / 暗黒物質探索 / キャリブレーション
Outline of Annual Research Achievements

単色低エネルギー中性子線源を開発し液体キセノンでの原子核散乱の発光効率や発光時定数の測定を行う目的の為、今年度は中性子線源の製作を行い、実際に中性子が発生していることを確認した。この中性子線源はイットリウム88(Y88)とベリリウム9(Be9)から構成されている。Be9は直径40mm、厚さ25mmのベリリウムセラミック2個と、その間にディスク状のY88ガンマ線源をセットする仕様になっている。研究実施計画に書いた液体キセノンの小型チェンバーでの測定は他の用途との都合で出来なかったものの、XMASS実験共同研究者が持つヘリウム3中性子カウンターを用いた測定や、ガンマ、中性子事象の分離能力を持つ液体シンチレータと光電子増倍管(PMT)2本で中性子事象が発生していることを確認した。
シミュレーションや解析ツールの向上についても達成している。具体的にはこれまで使用していた原子核散乱断面積のテーブルを最新のものに変更し、カリフォルニウム252(Cf252)を用いた中性子線源の測定結果について、データを再現するシミュレーション結果を得た。また発光時定数の評価を行うため、これまではXMASS検出器で検出された事象毎に全PMTの波形を合わせた波形を作成し、指数関数でフィットして時定数として得ていたが、この手法では今回の研究対象となる低エネルギー、かつ多重散乱を含む事象での発光時定数評価には不向きのため、個々のPMTの各光子毎に検出するプログラムを開発し、Cf252での原子核散乱の時定数評価を行い、ツールの妥当性を確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度目標としていた線源の製作、シミュレーションツールの作成、小型チェンバーを用いた中性子線源のデータ収集について、まず線源の製作については達成した。今回購入した2個のベリリウムセラミックBeOは直径40mm、厚さ25mmのサイズであり、今年度予定しているXMASS検出器での中性子線源データ収集に要求されるサイズを満たしている。日本アイソトープ協会より購入したイットリウム88線源と組み合わせた構成で、ヘリウム3中性子カウンターを用いた測定で実際に中性子が発生していることを確認した。シミュレーションツールについても原子核散乱断面積のライブラリを最新のものに更新し、低エネルギーでの発光時定数の評価方法について、これまでの波形を指数関数でフィットする方法から、各光子の検出時間、検出光量を用いた評価手法に改善した。これにより光電子増倍管で取得される波形の広がりの影響を受けない時定数評価が可能になった。
液体キセノンの入った小型チェンバーを用いた中性子線源のデータ収集は出来なかったものの、代わりにガンマ事象、中性子事象の分離能力を持つ液体シンチレーターの入った小型チェンバーを用いた測定を行った。

Strategy for Future Research Activity

今年度はまず昨年度に作成した中性子線源の同時計測の評価について引き続き調べる。昨年度予算で買う予定であった液体シンチレータプローブと、本学所有の液体シンチレータチェンバーを組み合わせ、同時計測可能であることを実証する。またシミュレーションからXMASS検出器での必要な測定時間について調べ、コラボレータに測定の同意を得る。引き続き、XMASS検出器に照射してデータ収集を行い、発光時定数や発光効率を評価することを目指す。線源のうちベリリウムセラミックについては昨年度購入したものをそのまま使用可能である。イットリウムについては半減期が約100日と短いため、実機での測定の前に再度購入予定である。その他測定に必要な鉛シールド遮蔽体、線源を固定するケース、線源導入用ポートの窒素パージ用の窒素等を購入する。測定し次第得られたデータから発光時定数、発光効率について評価し、暗黒物質探索における系統誤差の改善を行う。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は、購入を検討しているガンマ事象と中性子事象の分離能力がある液体シンチレーションプローブと3インチ光電子増倍管を組み合わせたセットアップについて、業者都合で納期に間に合わなかったためである。液体シンチレーション製作時にトラブルがあり、十分な性能が出ないため、との業者報告があった。このプローブに関しては今後の測定にも必要なため、改めて発注している。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記購入が間に合わなかった液体シンチレーションプローブに関して、その簡便性と性能から本研究の為に必要である。そのため、この次年度使用額は液体シンチレーションプローブと光電子増倍管の購入に使用する。購入後の残額については中性子線源導入のためのホルダーやガンマ線遮蔽の為の鉛シールド加工に当てる

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] XMASS detector calibration using a neutron source2016

    • Author(s)
      K.Ichimura
    • Journal Title

      Journal of Instrumentation

      Volume: 11 Pages: C02034

    • DOI

      10.1088/1748-0221/11/02/C02034

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] XMASS実験:中性子による原子核散乱を用いたXMASS検出器の較正2016

    • Author(s)
      市村 晃一 他XMASS Collaboration
    • Organizer
      日本物理学会 第71回年次大会
    • Place of Presentation
      東北学院大学 宮城県仙台市
    • Year and Date
      2016-03-19 – 2016-03-22
  • [Presentation] XMASS実験:中性子による原子核散乱を用いたXMASS検出器の較正2015

    • Author(s)
      市村 晃一 他XMASS Collaboration
    • Organizer
      日本物理学会 2015年秋季大会
    • Place of Presentation
      大阪市立大学 大阪府大阪市
    • Year and Date
      2015-09-25 – 2015-09-28
  • [Presentation] XMASS detector calibration using neutron source2015

    • Author(s)
      Koichi Ichimura for the XMASS collaboration
    • Organizer
      Light Detection In Noble Elements (LIDINE 2015)
    • Place of Presentation
      The university at Albany, State University of New York, USA
    • Year and Date
      2015-08-28 – 2015-08-30
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2017-01-06  

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