2016 Fiscal Year Annual Research Report
Neutron calibration with low energy monochromatic neutron source
Project/Area Number |
15K17625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市村 晃一 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (80600064)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中性子 / 原子核散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では未だ発見には至っていない暗黒物質探索の為の、低エネルギー中性子線源の開発を行った。暗黒物質は原子核と散乱することが期待され、中性子でも同様の原子核散乱による信号が観測される。今回製作したベリリウムセラミック(BeO)とイットリウム88(Y88)を組み合わせた線源では、Y88の崩壊で発生する2本のガンマ線(1836 keV, 898keV)のうち、1836keVのガンマ線とベリリウム9の光核反応で単色152keVの中性子が発生する。この線源から得られるエネルギースペクトルは質量が10GeV程度の暗黒物質の場合と類似しており、低エネルギーでの検出器の応答の評価に適している。また898keVガンマ線をプラスチックシンチレータで検出する同時計測も期待できる。 最終年度では暗黒物質探索実験であるXMASS実験検出器で上記中性子線源のデータ収集を行った。この中性子線源の課題である、中性子発生数よりY88のガンマ線の発生数が約4桁多いという問題対策の為に、鉛遮蔽体も入れた線源のセットアップを構築した。この形状決定のためにシミュレーションを行い、XMASSでデータ収集が可能な程度までガンマ線が遮蔽される鉛の厚さや、その厚さでも中性子信号は検出器で観測される等を確認した。鉛、中性子線源、プラスチックシンチレータを組み合わせたセットアップを、XMASS実験検出器近傍まで伸びている、中性子線源導入用の配管に導入しデータを収集した。実験の都合上、最終目標に掲げていた発光効率、発光時定数の評価が出来る程長期間のデータ収集は出来なかったが、約4日間データ収集を行い、原子核散乱らしい信号を観測することを達成した。プラスチックシンチレータでもガンマ線による信号が観測されており、偶発同時計測事象の評価、低減は必要なものの、他実験でも使用可能な低エネルギー中性子線源の開発という目標は達成した。
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