2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17645
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松崎 真也 名古屋大学, 理学研究科, 特任助教 (20377956)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | LHC実験の新物理 / 質量の起源 / 複合ヒッグス模型 / 強結合ゲージ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、実施計画に沿って質量の起源に関連する複合ヒッグス模型のLHC実験におけるシグナルの検証と、さらにそれらの模型に特徴的な暗黒物質候補の物理を含めた発展的な研究を推進した。 年度の前半では、LHC実験にて報告された新粒子のシグナルの可能性に関して、本研究の一つの主軸の模型であるウォーキングテクニカラー理論に基づく複合粒子(ウォーキング・テクニパイ粒子)によるシグナルの説明と、それに次ぐ新粒子発見可能性を提唱した(Mod.Phys.Lett.A31(2016); Phys.Rev.D93(2016))。 また、ヒッグス粒子が部分的に複合粒子となる可能性を考案し、その模型で予言される複合粒子や暗黒物質候補の物理を解析し、今後のLHC実験または暗黒物質検出実験へのシグナル検証方法を提示した(Phys.Rev.D94(2016))。さらに、複合ヒッグス粒子だけでなく、標準模型の非摂動的ダイナミクスの性質により生成されうるバリオンのような複合スカラー粒子が、暗黒物質の候補となりうる可能性も提唱し、研究会などで講演を行った。 年度の後半では、前述の部分的複合ヒッグス模型を拡張し、ニュートリノの非常に小さな質量の起源、またそのフレーバー混合の機構も強結合ゲージ理論(ハイパーカラー理論と名付けたもの)の力学的性質と直接関係づける可能性を議論し、さらにその強結合理論によって生まれるバリオンのような複合粒子が暗黒物質候補になることを示し、この模型の今後のLHC実験、LHCb, Belle, 暗黒物質検出実験などを含めた多角的な検証可能性を提示した(Phys.ReV.Dに掲載決定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた複合ヒッグス模型におけるLHC実験での新物理とフレーバー物理への示唆に関しては順調に発展させており、さらに暗黒物質候補の物理に関しても展開を進めている点を考慮すると、当初の予定よりもより多角的な視野で研究が進められていると思われる。一方、もうひとつ予定していた切り口である、トップクォークと質量の起源を関連させた研究に関しては学術論文のレベルの成果としてまだ進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もLHC実験における複合ヒッグス模型が予言する複合粒子に関連した新しい物理のシグナルの考察を進め、さらにフレーバー物理、暗黒物質の物理との関連を議論し、多角的な見地による質量の力学的起源の解明の兆しとなる現象の研究を行う。さらに、予定しているトップクォークの力学と質量の起源の関連性をもつ複合ヒッグス模型の考察、解析も進める。
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Causes of Carryover |
予定していた研究会の一つをキャンセルしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の研究打ち合わせ費用に起用する予定。
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Research Products
(10 results)