2018 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing structure formation in the early universe through cosmological observations
Project/Area Number |
15K17646
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田代 寛之 名古屋大学, PhD登龍門推進室(理), 特任講師 (40437190)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 宇宙大規模構造 / 再電離期 / 宇宙背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年代に本格的稼働が予定されている国際巨大電波干渉計Square Kilometer Array(SKA)により、電波望遠鏡を用いた新たな宇宙論観測の展開が期待されている。そこで本研究課題では、電波望遠鏡による、宇宙の構造形成に関連した新たな宇宙論の展開の可能性を模索した。 その成果の一つが、SKAの広視野を応用した銀河探査による重力理論の検証である。それぞれの重力理論の特徴は、銀河分布の非ガウス性に現れることが知られている。SKAの広視野はこの非ガウス性の観測量の一つである3点相関関数の測定に適している。そこで我々は、様々な重力理論の統一的取り扱いが可能な拡張されたホルンデスキ理論に注目し、その理論的枠組みのもとで3点関数の定式化をおこない、3点関数の特徴を整理した。このような取り組み成果は、将来のSKAによる銀河探査が行われた際、重力理論検証に応用可能であり、その土台となる研究になることが大きく期待される。 またこの他にも、SKAの試験的観測装置であるMWAによる宇宙再電離シグナルの検出に関するデータ解析も行った。ここで期待される宇宙再電離シグナルとは再電離期に残存している中性水素が発する21cm線シグナルである。SKAやMWAでは、このシグナルの強度マップの作成が大きなサイエンスゴールとなっているが、そのシグナルは大変弱く単独での検出は非常に困難である。この困難を取り除く方法の一つが、宇宙マイクロ波背景放射CMBとの相互相関である。MWAは、この21cm線シグナル計測のための本格的な世界初の観測装置の一つである。そこでこの観測データとPlanck衛星によるCMB観測データとの相互相関のデータ解析を行った。その結果、相互相関シグナルの検出には至らなかった。しかし、この解析を通じて、そのシグナルの上限値の制限を世界で初めて与えることができた。
|
Research Products
(7 results)