2016 Fiscal Year Research-status Report
超高エネルギーガンマ線観測によるパルサーの放射機構の解明
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15K17647
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 隆之 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (60713419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガンマ線パルサー / MAGIC / CTA / 焦点面検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
MAGIC望遠鏡によるGemingaパルサーの観測結果を、投稿論文として発表した(A and A 591, A138)。パルス放射だけでなく、パルサー風星雲からの定常放射も検出されなかったのは驚きであった。また、CTAが完成したさいに検出されうるパルサーをシミュレーションから見積もり、それらから迫れるパルサーの物理について議論した論文を投稿した(MNRAS 2017, submitted) 。 CTA焦点面検出器の読み出し回路について、信号サンプリングタイミングの較正方法を開発した。それにより、電荷分解能を2.5倍にあげることに成功した。また、カナリア諸島の研究所(Instituto de Astrofisica de Canarias)に、小型の焦点面検出器を構築し、検出器モジュールの統合試験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MAGIC望遠鏡をつかってできるパルサーの研究はほぼ終えることができたと思う。さらに研究を進展させるためには、CTA大口径望遠鏡が必要不可欠であり、その中でも最も重要な構成要素である焦点面検出器の開発は順調に進んでいる。望遠鏡が設置されるカナリア諸島に、試験設備が構築でき、また現地の研究者たちとの人脈も作れたのは大きな成果と言える。一方で焦点面検出器の中心に据えるCCDカメラの設置治具の開発が遅れ気味である。ただそれもある程度の時間さえ取れればすぐに解決される課題であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はCTA大口径望遠鏡を一台完成させることが第一目標である。カナリア諸島に積極的に出張し、主導的な立場で焦点面検出器の統合試験および建設を行っていく。望遠鏡が完成したのち、各機器の構成および試運転が必要である。2、3ヶ月程度かかると推測されるが、その後の科学観測の精度を決める重要な作業であるので、実直に遂行するつもりである。 その後、Crab、Geminga、Dragonflyパルサーの観測を行う。検出自体はそれほど難しくないと思われる。問題はエネルギースペクトラムの測定で、系統誤差を抑えた解析である。これまでのMAGICでの経験を生かしてクリアしていきたい。3つのパルサーのスペクトラムと、それらのパルサーの年齢などからパルサーの放射機構に迫っていく。
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Causes of Carryover |
予定していた物品の購入(CCDカメラおよびレンズ)と治具の開発が年度内に間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CCDカメラおよびレンズの購入と望遠鏡への設置治具の開発。および光電子増倍管読み出し回路へのノイズの影響の試験。
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Research Products
(6 results)