2015 Fiscal Year Research-status Report
炭素14原子核の陽子弾性散乱測定による三体力の定量的抽出と核物質への応用
Project/Area Number |
15K17660
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
松田 洋平 甲南大学, 理工学部, 研究員 (50569043)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 陽子弾性散乱 / 炭素14 / 核物質の状態方程式 / 三体力 |
Outline of Annual Research Achievements |
核物質の状態方程式を決定する事は、核子多体系や天体現象の研究に於いて重要な課題となっている。飽和密度付近から高密度側にかけての状態方程式を決定するには二体力だけで無く、三体力の効果を定量的に評価する必要がある。本研究では、炭素14の陽子弾性散乱測定を行う事で、飽和密度付近での三体力を実験的に求める。そして得られた相互作用を状態方程式に反映させる事で状態方程式に対する三体力の効果を評価すると共に、既存のモデルに制限を与える。申請者らは先行研究に於いて陽子弾性散乱測定から光学ポテンシャルを精度良く求める手法を開発しており、本研究の遂行が可能となっている。 平成27年度は、炭素14標的作成の為の準備作業を行った。 実験では、直径10 mm、厚さ 10 mg/cm2 (1 GBq) の炭素14標的が必要である。この標的は、粉末状の炭素14を油圧プレスで固める事で作成可能である。但し、炭素14は半減期5730年でベータ崩壊する炭素の放射性同位体である為、安全な標的の作成、保管、 使用が求められる。そのような事から研究を行なう大阪大学核物理センターにてセンター長直属の諮問機関「炭素14安全委員会」が設置された。委員会では数ヶ月間に渡って取扱方法と安全対策の議論が行われた。 安全審査後は、委員会での結論に沿って標的作成、保管、 使用時に必要な装置の製作を行なった。委員会の助言により、製作した装置には安全を確保しつつ出来るだけ放射性廃棄物を出さないような工夫を施した。これら装置の製作は平成27年度中に終えており、炭素14試料を購入すれば、平成28年度中に標的作成と実験の遂行が可能となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では炭素14標的の開発が重要なポイントとなっている。炭素14は粉末状でしか購入出来無い為、油圧プレスで固めて標的を自作する必要がある。しかし炭素14は放射性同位体である為、安全な標的の作成、保管、 使用が求められる。 今年度はこの点について、大阪大学核物理センターに設置された炭素14安全委員会にて数ヶ月間かけて議論を行なった。そして安全審査の結論に沿って標的作成、保管、使用の各段階で使用する装置の製作を行なった。 以上により、炭素14試料を購入すれば標的作成と実験の遂行が可能な状態となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
炭素14試料を購入し、標的の作成を行なう。標的作成に於いては、試料の購入、作成時期、作成場所の使用といった点で大阪大学核物理センター(RCNP)の協力が必要である。RCNPは共同利用施設であり、様々な研究機関の方が利用している。その為、他の研究と干渉しないようRCNPの方々と密に相談しながら作業を進めて行く。 標的作成後は速やかに陽子弾性散乱測定を行う。この点に於いてもRCNPの協力が必要であり、他の実験と干渉しないようRCNPの方々と密に相談しながら作業を進めて行く。
|