2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a windowless gas-cell ion beam cooler-buncher for precision experiments for short-lived nuclei
Project/Area Number |
15K17672
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 由太 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 基礎科学特別研究員 (30711501)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クーラーバンチャー / ガスセル / イオンガイド / RFカーペット / イオントラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
質量測定やレーザー分光といった不安定核の精密分光実験を行うためには、高エネルギーで生成される目的核種のイオンを数eV程度に減速し、また必要に応じて加減速やトラップなどイオン制御が可能なバンチビームとして提供する必要がある。本研究では、このための基幹装置である窓なしガスセル型ビームクーラー・バンチャー(GCCB)及び付随するイオントラップの開発を目的とした。GCCBは希薄なガスによって30 keVまでのビームの減速・捕集を行い、RFイオンガイド法によって高真空領域へとイオンを引き出したのち、後段のイオントラップにおいてイオンをバンチ化して様々な実験装置へと輸送する構成となっている。 昨年度では、インフラ整備、高周波カーペットの最適化、抵抗体電極イオントラップの開発を完了している。本年度はこの抵抗体電極トラップを広質量範囲のイオンに対して適応し、その有用性を検証した。このトラップでは、大きなRF電圧を印可すると放電及び接着面の剥離といった構造上の問題たびたび見られた。これは電極であるシリコンストリップ端面と周辺接地電位との距離及び電圧供給用の接点との間での発熱が問題であることが判明した。これらを解決するために、ストリップの長さを数mm短くして放電を回避し、抵抗体の代わりに厚いプリント基板による抵抗分割型を新たに採用した。結果、昨年度と同様の超重元素用ガスセルを用いた実験で、質量数約40-250の核種のイオンに対して90%以上の輸送及びバンチ化効率を得ることができた。また1 kVpp程度のRF電圧を印可した状態での連続運転でも問題ないことを確認した。このトラップ装置は、GCCBだけでなく他の実験装置へも転用される予定である。 またGCCBは汎用性、扱いの簡便さ、高効率を兼ねそなえるため、他の低エネルギーRIビーム施設でも採用が予定されている。
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