Search and confirmation for spin nematic state in one-dimensional frustrated chain

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15K17693
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 那波 和宏 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10723215)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 一次元フラストレート磁性体 / 強磁場物性 / 磁気秩序 / 磁気ゆらぎ

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は一次元フラストレート磁性体に理論的に期待される多様な量子相、特に飽和磁場近傍に期待される新しい電子状態であるスピン・ネマティック秩序相の詳細を実験的な観点から明らかにすることである。そのために１．新しい候補物質を探索する、２．有力な候補物質を選定する、３．その中でスピン・ネマティック秩序相を示すことが期待される候補物質を選定する、４．スピン・ネマティック秩序相を実証する、という４段階の研究計画を立てた。

初年度においてはそのような有力な候補物質としてNaCuMoO4(OH)を発掘し、単結晶試料を用いた核磁気共鳴法（NMR）の測定などから微視的な観点からも有力な候補物質であることが実証された。最終年度ではスピン・ネマティック秩序相を実証する、という最終目標を達成するために強磁場NMRの実験をフランス・グルノーブルにて行った。1H核のNMRスペクトルの磁場依存性を詳細に調べたところ、飽和磁場近傍の24.3-24.5 Tの非常に狭い磁場領域において新しい磁気相が存在する確かな証拠を得ることができた。加えて23Na核の核磁気緩和率の磁場依存性から、飽和磁場よりも高磁場側では複数のマグノンが束縛対を形成していることが示唆された。以上の結果はスピン・ネマティック秩序が実在することを示す初めての積極的な証拠となる可能性があるという点において、フラストレート磁性の分野に新しい知見を与えることが期待される。その他にも、単結晶試料を用いた弾性中性子回折実験によってブラッグ反射を検出することに成功し、低磁場領域における磁気構造が明確になるなど大きな進展があった。

Research Products

• [Int'l Joint Research] LNCMI, Grenoble(フランス)
  • Country Name: FRANCE
  • Counterpart Institution: LNCMI, Grenoble
• [Int'l Joint Research] Technische Universitaet Wien(オーストリア)
  • Country Name: AUSTRIA
  • Counterpart Institution: Technische Universitaet Wien
• [Int'l Joint Research] Bragg Institute, ANSTO(オーストラリア)
  • Country Name: AUSTRALIA
  • Counterpart Institution: Bragg Institute, ANSTO
• [Presentation] 一次元反強磁性体KCuMoO4(OH)における異方的な磁場誘起ギャップ (2016)
  • Author(s): 那波 和宏，Oleg Janson，廣井 善二
  • Organizer: 第11回量子スピン系研究会
  • Place of Presentation: 福井大学遠赤外領域開発研究センター（福井県福井市）
  • Year and Date: 2016-12-02 – 2016-12-03
• [Presentation] 一次元フラストレート磁性体におけるスピン・ネマティック秩序相の探索 (2016)
  • Author(s): 那波 和宏
  • Organizer: 日本物理学会平成28年度秋季大会
  • Place of Presentation: 金沢大学角間キャンパス（石川県金沢市）
  • Year and Date: 2016-09-13 – 2016-09-16
• [Presentation] Magnetic Phse Diagram of the Frustrated J1-J2 chain magnet NaCuMoO4(OH) (2016)
  • Author(s): Kazuhiro Nawa
  • Organizer: 8th International Conference on highly Frustrated Magnetism
  • Place of Presentation: Taipei, Taiwan
  • Year and Date: 2016-09-07 – 2016-09-11
  • Int'l Joint Research
• [Presentation] Neutron Scattering for One-Dimensional Frustrated Chain Compound NaCuMoO4(OH) (2016)
  • Author(s): S. Asai, T. Oyama, M. Hagihala, M. Soda, A. Nakao, K. Munakata, K. Kuwahara, S. Itoh, K. Rule, K. Nawa, Z. Hiroi, T. Masuda
  • Organizer: 8th International Conference on highly Frustrated Magnetism
  • Place of Presentation: Taipei, Taiwan
  • Year and Date: 2016-09-07 – 2016-09-11
  • Int'l Joint Research
• [Presentation] 擬一次元磁性体ACuMoO4(OH) (A = Na, K)における軌道配列と磁性 (2016)
  • Author(s): 那波 和宏，矢島 健，岡本 佳比古，吉田誠，瀧川仁，廣井 善二
  • Organizer: 第1回固体化学フォーラム研究会
  • Place of Presentation: 東京大学物性研究所（千葉県柏市）
  • Year and Date: 2016-06-14 – 2016-06-15
• [Remarks] 研究内容
  • URL: http://knawa.html.xdomain.jp/research.html