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2016 Fiscal Year Research-status Report

パルス強磁場・圧力下物性測定によるCe1-2-10系新規秩序相の発現機構解明

Research Project

Project/Area Number 15K17699
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

近藤 晃弘  東京大学, 物性研究所, 助教 (00572819)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords強相関電子系 / 近藤半導体 / パルス強磁場
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、前年度に作製したピストンシリンダー式圧力セルを用いたパルス強磁場下での磁気抵抗システムを構築した。ピストンシリンダーの材質は電気伝導度が一般的な金属よりも小さなNiCrAlを用いてはいるものの、パルス磁場印加に伴う発熱が無視できない可能性があったため、実際にどの程度の発熱が生じるかをまず検証した。その結果、55Tまで磁場が増大する間に3K程度の発熱を伴うことを確認した。
本研究で対象としている反強磁性近藤半導体CeT2Al10(T=Ru,Os)は常磁性領域への臨界磁場(容易軸方向)が1.3Kから10K程度までほぼ一定(約50T)であることから、3K程度の発熱であれば臨界磁場の大きさを決定することに支障はないと判断した。そこで、今年度はCeRu2Al10およびCeOs2Al10のパルス強磁場下磁気抵抗測定を2GPaまでの圧力範囲で行った。CeRu2Al10では約50Tであった臨界磁場は加圧により高磁場側にシフトしていき、1.3GPaで55Tまで増大した。さらに、CeOs2Al10も同様な挙動を示し、1.8GPaで65T程度まで増大することを見出した。これらの結果から、CeT2Al10の反強磁性秩序の臨界磁場は加圧により伝導電子とf電子との混成(c-f混成)が強まったために増大することが明らかとなった。CeRu2Al10のFe置換系の研究から、反強磁性秩序の臨界磁場の大きさは非弾性中性子散乱で観測されている磁気励起(スピンギャップ)の大きさを反映していることがわかっているため、スピンギャップ形成にはc-f混成が深く関係していることが今年度の研究により明らかとなった。その一方で、スピン(近藤)一重項の大きさと関係している磁化率のピーク温度(Tmax)と臨界磁場の圧力依存性を比較してみると、CeRu2Al10とCeOs2Al10では両者に大きな違いがあることもわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

圧力セルを用いたパルス強磁場下磁気抵抗測定を構築し、本研究の対象である近藤半導体CeT2Al10に適用したことによりいくつかの重要な知見を得ることができている。次年度以降、遷移金属(T)サイトを置換した系に関しても測定を行い、さらなる知見が得られるように研究を進めていく予定である。その一方で、圧力下磁化測定システムの構築はホール素子の選定に大幅な時間を要しているため現時点ではまだ測定システムが立ち上がっていない。限られた時間ではあるが、次年度中までには測定可能な状況にするように努めていきたい。

Strategy for Future Research Activity

今年度でCeT2Al10(T=Ru,Os)の測定はほぼ完了したので、次年度ではTサイトやCeサイトの置換系についても測定を進めていきたい。RuをRhに、またOsをIrに置換することにCeイオンの局在性は高まり、その結果3~4%の置換により磁気モーメントの向きが容易軸方向に変化することが分かっている。このような状況下で加圧することにより、臨界磁場などの強磁場下でのふるまいがどの様に変化していくのかを詳しく調べていく予定である。これと並行して、ホール素子を用いた圧力下磁化測定の構築も進めていく予定である。

Causes of Carryover

使用額に差が生じた原因は、今年度に作製予定であった圧力セルがまだ作製されていないためである。現在使用している圧力セルを改良するためには、この圧力セルを実際に使用したことによって浮かび上がってくるいくつかの問題点を考慮する必要があると判断したため、作製時期を次年度に持ち越すこととした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

現在、急ピッチで新たな圧力セルの作製を進めている。これは現在使用している圧力セルを改良したものであり、現在の常用最大圧力である2GPaを上回る圧力が得られると期待できる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] パルスマグネットを用いた近藤半導体CeT2Al10(T=Ru,Os)の圧力下磁気抵抗測定2017

    • Author(s)
      近藤晃弘
    • Organizer
      日本物理学会 第72回年次大会
    • Place of Presentation
      大阪大学 豊中キャンパス(大阪府豊中市)
    • Year and Date
      2017-03-19

URL: 

Published: 2018-01-16  

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