2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the unusual antiferromagnetic order in Ce1-2-10 system using the non-destructive pulsed magnet under pressure
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15K17699
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 晃弘 東京大学, 物性研究所, 助教 (00572819)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 近藤半導体 / パルス強磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続きCeT2Al10(T=Ru, Os)のパルス強磁場中での圧力下磁気抵抗測定を中心に研究を進めた。CeT2Al10は磁場を容易軸(a軸)に印加した場合、反強磁性秩序(AFM)相から常磁性相への転移磁場(Hcp)が加圧により高磁場側へシフトしていくことを昨年度に見出し、CeT2Al10系のAFM相が伝導電子とf電子の混成(c-f混成)と深く関わっていることを明らかにした。 この系のc-f混成は非弾性中性子散乱で観測されている磁気励起(スピンギャップ)と関係があることから、Tサイトを他の遷移金属で置換しスピンギャップを消失させた場合、加圧によるHcpの増大は起こらないのではと推測し、今年度はTサイトをRhやIr、Reで置換した系についての測定を行った。その結果、予想に反してTサイト置換系でも母物質と同様なHcpの増大が観測された。加圧によるHcpの増大率はTサイト置換に依らず同程度であることから、Hcpの増大は単純にc-f混成が加圧に伴い増強したということではないことがわかった。 CeT2Al10系のAFM相はこれまでの研究から異方的な交換相互作用が重要な役割を果たしていることが明らかになっているが、加圧によりその異方性(特にc軸方向)が増強されればHcpにも変化があるのではないかと考え2部分格子モデルを基にした平均場計算を行ったところ、c軸方向の交換相互作用が大きくなることによりHcpが増加することを確認した。したがって、本研究で観測されたHcpの異常な増大は加圧によりc軸方向の交換相互作用が相対的に大きくなったことが原因であることが明らかとなった。これはCeT2Al10系の奇妙なAFM相の起源を解明する上で重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(1 results)