2015 Fiscal Year Research-status Report
一枚層銅酸化物HgBa2CuO4+dにおける超伝導臨界温度(Tc)の最高記録更新
Project/Area Number |
15K17712
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業センター(利用研究促進部)) |
Principal Investigator |
石角 元志 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, その他部局等, その他 (90513127)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水銀系銅酸化物高温超伝導体 / 多結晶試料作製 / 単結晶育成 / タリウム系銅酸化物試料 / 電気抵抗測定 / プロポーザル / 高圧下X線回折実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画である、水銀系銅酸化物高温超伝導体HgBa2CuO4+d(Hg1201)の多結晶試料作製と単結晶育成を進めて良質な多結晶試料の合成条件を最適化することに成功した。また、単結晶試料の育成にも成功した(最適化はH28年度に持越し)。さらに、比較対象物質であるタリウム系銅酸化物試料(Tl2Ba2CuO6+d:Tl2201)の単結晶育成条件の最適化にも成功した。常圧でのTl2201の電気抵抗測定にも成功した(キャリアドーピングレベルはオーバードーピング)ので、高圧下の電気抵抗測定も行った。接触抵抗が大きく、データにややノイズが乗っており、preliminaryな結果ではあるが超伝導臨界温度(Tc)は加圧と共に下がる結果が得られた。Hg1201の電気抵抗測定は未着手状態である。また、次年度に計画しているHg1201の試料を用いた高圧下の構造解析を行うために、研究協力者の方々と相談してSPring-8の高圧ビームライン(BL10XU)にプロポーザルを作成・提出した。このビームラインのプロポーザル採択率は3-4割であったが、幸いなことに2016Aのビームタイムで9サイクル(72hrs)測定できることになった。高圧下X線回折実験は予備実験と本番の測定を分けて2回のビームタイムで測定を行うことにした(5/19-21と6/29-7/1)。高圧下の構造解析が充分にできるように純度の良い(不純物相が少ない試料)を作製するための合成条件の最適化に加えて、最適ドーピング(Tcが最高に高いキャリア量)にするための酸素量の制御(アニーリング)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定試料の作製(Hg1201とTl2201)には成功したが、高圧下の電気抵抗測定があまり進まなかった。理由は常圧下の電気抵抗測定に必要な電極付けが上手くできないことにある。また、電極付け方法の改良(技術開発)を行う必要性を認識したので行うべき問題点は明らかとなった。一方、次年度(H28)に計画している高圧下の構造解析を行うための高圧下X線回折実験のプロポーザルが採択され平成28年度の計画(実験)が年度の前期の早い段階で行えることとなった。遅れているのと早めに行えているのを総合して「順調に進展している」と自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧下の構造解析については、高圧下X線回折実験をSPring-8のBL10XUで行うことが決定したので、試料の準備、構造解析を行うための実験条件などの打ち合わせを研究協力者と密におこない進めていく(ビームタイムは、5/19-21と6/29-7/1の日程に分けて行う)。また高圧下の輸送現象測定(電気抵抗測定)は、まず今年度の半年を使って電極付け技術を確立する。その後、X線回折実験に対応する圧力下での電気抵抗測定を系統的に行う。
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Causes of Carryover |
単結晶育成技術開発に使用する予定だったが、研究計画が数か月分遅れたので差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額分は今年度中に執行する予定。
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