2016 Fiscal Year Research-status Report
一枚層銅酸化物HgBa2CuO4+dにおける超伝導臨界温度(Tc)の最高記録更新
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15K17712
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発 |
Principal Investigator |
石角 元志 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科, 中性子科学センター, 技師 (90513127)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高圧下構造解析 / 水銀系銅酸化物高温超伝導体 / ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は当初の計画通り高圧下構造解析を進めた。前年度に採択されたSPring-8のBL10XUでのビームタイムを使って高圧下X線回折実験を行った。高圧下X線回折実験は初めての経験だったので、最初の感触を掴むための試し実験を含めて2回の時期に分けて行った(5/29-31と6/28-7/1)。測定したのは水銀系銅酸化物高温超伝導体HgBa2CuO4+d(Hg1201:Tc=94K)の多結晶試料と、同じく単位胞にCuO2面を一枚持つLa2-xSrxCuO4(LSCO:Tc=38K)の単結晶を粉末化した試料である(Tcが大きく異なるという意味で参照物質として測定した)。用いた圧力装置はダイヤモンドアンビルセル(DAC)で、圧媒体はHeガスを用いて20GPaまでの圧力を掛けて実験を行った。高圧下X線回折実験は初めての経験だったが室温での高圧下X線回折実験は成功して高圧下構造解析を行えるだけのデータを取得することに成功した。低温での高圧下X線回折実験は不成功に終わったので、軸長が温度変化とともにどのように変化したか程度の情報しか得られなかった。室温でのHg1201の構造解析(Rietveld解析)の結果によると加圧にともなって軸長は減少していくがa軸とc軸の異方性などを確認した。今後はLSCOとの解析結果と比較してTcと相関しているパラメータなどの検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高圧下構造解析の実験にはある程度成功したが、そのデータと比較すべき高圧下の電気抵抗測定の実験が殆ど進まなかった。本年度の研究計画が進まなかった原因は、測定試料がすぐに劣化して常圧下の電気抵抗測定の電極付け技術開発が殆どすすまなかったことにある。そのため試料作製条件の再検討と改善をおこなっていた。最初の研究計画からすると一度実験の再検討や改善実験を行って後退していたので「やや遅れている」と自己評価を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、昨年度から再検討と改善をしている試料作製条件の最適化を引き続き行う。それが完了したら、常圧下での電極付け技術開発を進めて電気抵抗測定技術を確立させる。その後、高圧下の電気抵抗測定を研究協力者との共同研究で進める。そのデータと高圧下の構造解析の結果を比較検討してまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
電極付け技術開発や高圧下電気電気抵抗測定などに使用する予定だったが、研究計画に遅れが生じたので使用額に差額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額分は今年度の計画に従って使用する予定。
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Research Products
(1 results)