2018 Fiscal Year Research-status Report
磁束渦糸に束縛されたマヨラナフェルミオンによる非平衡現象の理論的研究
Project/Area Number |
15K17715
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
堤 康雅 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (10631781)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 磁束渦糸 / 交流応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で修得した計算手法を用いて、磁束渦糸格子の交流電場応答についての数値計算に着手した。数値計算では、磁束渦糸格子の単位格子内でKeldysh形式の準古典グリーン関数を超伝導の秩序変数、不純物自己エネルギー、及び、電気化学ポテンシャルと自己無撞着に解く必要がある。 秩序変数と電気化学ポテンシャルは解析接続した松原グリーン関数の有限和とKeldyshグリーン関数の異常関数部分についてのエネルギー積分から計算する。Keldyshグリーン関数の異常関数部分は解析接続できないためエネルギー積分を実行する必要があるが、低温では交流電場の周波数以下のエネルギーを持つ準粒子にしか異常関数は寄与しないので、エネルギー積分の積分範囲を小さくでき、計算コストを抑えることができる。 磁束渦糸格子についての計算では、単位格子内の計算で得られた秩序変数、不純物自己エネルギー、電気化学ポテンシャルを周期的に配置することで、準粒子が磁束渦糸格子から感じるポテンシャルを再現する。計算結果を得たい座標点からコヒーレンス長に比べて十分に長い距離を初期座標点として、初期値に依らない準古典グリーン関数をRiccati型の微分方程式を数値的に解くことで計算する。多数の単位格子上で準粒子の受けるポテンシャルを構成する必要があるため、渦糸格子の対称性を利用して効率化を図る必要がある。さらに、渦糸振動の光学モードを扱う場合には、単位格子が2倍となるので、対称性を考慮する際に注意が必要となる。対称性を利用した数値計算プログラムを作成することで、次年度に光学モードの存在を明らかにする計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
以下の理由により、本研究課題の進捗状況に遅れが出ている。 ・研究代表者の所属機関の変更により業務が増えたことで、本研究課題にさけるエフォートが減少した。 ・単一磁束渦糸において、先行研究では議論されていない問題があることが明らかとなり、磁束渦糸格子の研究に進む前に、単一磁束渦糸の詳細な研究を行う必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
マヨラナフェルミオンが束縛された磁束渦糸格子について、交流電場に対する光学モードの存在を対称性を活用した数値計算プログラムを用いて示す。特に、マヨラナフェルミオンが存在する直接的な証拠となる光学モードのエネルギーギャップを明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
やむを得ない事情により、研究の進捗状況に遅れが出ているため、研究成果発表の経費に次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、研究成果発表の経費に充てる。
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Research Products
(6 results)