2015 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞間の結合を模倣した振動子のネットワーク化とその時空間ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
15K17721
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岡野 太治 中央大学, 理工学部, 助教 (60622082)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Belousov-Zhabotinsky反応 / 化学振動子 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,神経細胞ネットワーク内で見られる結合様式を模倣して化学振動子ネットワークを構築することを主目的としている.これを達成するため,今年度は細胞サイズの化学振動子作製に向けた諸条件の検討と作製手法の確立を目指した.その結果,一般的な細胞と同程度のスケール(直径約10um)の化学振動子を作製することに成功した. 細胞サイズの化学振動子を作製するため,化学振動反応として有名なBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応を脂質二重膜小胞(リポソーム)に封入することを試みた.一般的な組成のBZ反応液はpH 1~2の強酸性水溶液である.そこで,強酸環境下でのリポソームの安定性を検証した.種々のリン脂質で作製したリポソームをBZ反応液に浸しその影響を調べたところ,特定のリン脂質から成るリポソームは強酸環境下でも安定して存在できることが分かった. BZ反応は反応場スケールの微小化に伴って反応が緩慢化することが報告されている.このことから,細胞サイズのリポソームにBZ反応液を封入すると,その反応が強く抑制されることが懸念された.そこで,BZ反応液を水相としてマイクロエマルションを作製し,微小反応場における反応の振る舞いを網羅的に調べた.その結果,細胞サイズの微小体積でも安定してBZ反応が起こる条件を見出した. 以上の結果を基に,リポソーム内にBZ反応を局在化した微小化学振動子系の構築を行った.現在リポソーム内の反応を安定化させるための実験を進めており,その後,振動子の結合系を構築する予定である. これまでに得られた成果は,学会発表を通して公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はBelousov-Zhabotinsky反応を封入した細胞サイズのリポソーム(リポソーム振動子)を作製することを計画していた.既にリポソーム振動子の作製手法を確立しており,現在は反応安定化の条件を検討している.以上のことから,研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,当初計画をおおむね達成できた.今後の研究を推進するにあたって,研究目的の障害になるような大きな問題点はなく,今後の研究も当初計画通りに実施する.
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Causes of Carryover |
研究推進にあたり必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込額と執行額に差異が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究計画に変更はないため,前年度の研究費も含め当初予定通りに使用する.
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