2016 Fiscal Year Research-status Report
データ同化を用いたゆっくりすべりの時空間発展とすべりに伴う地震活動予測手法の開発
Project/Area Number |
15K17743
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 将行 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (10739056)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | SSE / 琉球海溝 / GNSS / インバージョン / 超低周波地震 / データ同化 / 摩擦特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、巨大地震発生に影響を与えるであろうと考えられるゆっくりすべりのデータを用いたすべりの時空間発展予測手法・地震活動度の予測手法を開発し、将来的に発生するであろう海溝型巨大地震の予測体制の基礎の確立を最終目的とする。 平成28年度は、昨年度に引き続き以下の研究を実施した。 本研究では琉球海溝南西部・八重山諸島付近のプレート境界で約半年周期で繰り返し発生しているSSEを対象とする。八重山諸島では国土地理院によるGNSS観測点8点に加えて、2010年以降SSE発生域直上付近を中心に京都大学で4点のGNSS観測を行っており、より詳細なイベントの時空間発展が得られることが期待される。今年度は2010年3月~2013年2月に観測されたデータに対し、Fukuda et al. (2008)で開発された時空間院バージョン手法(Monte Carlo Mixture Kalman Filter, MCMKF)を適用し、全5回のSSEの時空間発展を推定した。すべてのイベントが西表島北西部深さ40~60 kmのプレート境界で最大すべり7~9 cm、モーメントマグニチュード6.6~6.8でおよそ一か月継続していることが分かった。しかしながら、詳細な時間変化を調べると、急激に加速して開始するイベントと、初期段階でゆるやかなすべりの加速を示すイベントが存在することが明らかになった。また超低周波地震(Nakamura and Sunagawa 2015)や低周波地震はSSE発生域よりも浅い領域で発生しており、琉球海溝南西部ではこれらの現象が相補的に分布を示していることが確認された。今後、これらのイベントの特徴の違いを摩擦特性の観点から明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに開発した摩擦特性手法の適用に向けて、琉球海溝で発生しているSSEの詳細な時空間発展を推定し、イベントごとの共通点・相違点を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度推定した琉球海溝南西部のSSEの時空間発展を基に、SSEの繰り返しを定性的に再現できる数値モデルを構築し、NIFの結果を同化することで摩擦特性の解明、すべりの予測を試みる。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会に該当予算で参加しなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会2件、国内学会・研究集会4件の発表を予定している。新規にデータ解析用のPCを購入する予定である。また今年度の成果を論文投稿する予定である。
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