2015 Fiscal Year Research-status Report
地球放射線帯におけるヒス放射の励起および高エネルギー粒子散乱の研究
Project/Area Number |
15K17771
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
疋島 充 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50646023)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 計算機実験 / 波動粒子相互作用 / プラズマ波動 / 内部磁気圏 / ヒス放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではプラズマ波動の生成素過程を詳細に描写する、self-consistentな電磁粒子シミュレーションの手法を介してヒス放射の再現を通し生成素過程の解明を行う。研究を遂行するに当たり、磁気赤道域を想定した不均一磁場かつ波動励起に寄与する温度異方性を有する電子を配置した空間モデルの構築、加えてヒス放射の観測に基づき典型となるプラズマパラメータを採用し、プラズマ圏内を想定した電子プラズマ周波数と電子ジャイロ周波数比を用いてプラズマ環境の構築を行った。種々のパラメータを用いたシミュレーション施行の結果、電子ジャイロ周波数の1/10以下という比較的低い周波数においてホイスラーモード波動の放射を実現することに成功した。以上の計算機実験の結果は、衛星観測におけるヒス放射の統計解析ともよく類似する。また生成波動には非線形波動成長を示唆する周波数構造を確認することが出来た。近年の衛星観測によるヒス放射の高時間分解能データより、ヒスの周波数構造が時間による変化を有し、さらに非線形波動成長理論での説明が可能であることが明らかになった[Summers et al., 2014; Omura et al., 2015]。本研究のシミュレーションでは、ヒス放射の生成過程が従来より広く受け入れられてきた機構とは異なり、共鳴電子との波動粒子相互作用を経ることによりその場で波動が励起するという新たな解釈を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のシミュレーションによるヒス周波数帯での低周波ホイスラーモード波動の励起に関しては当初の予定通り進んでいる。多くの計算機資源を必要とするが、今後さらにパラメータを変化させたシミュレーションを行う必要があり、スペクトル構造など詳細な励起プロセスを確認していく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りにプラズマ環境の変化によるヒス放射生成の特性を確認し、波動の線形/非線形成長を理論面からの議論も取り入れることにより、ヒス放射の生成素過程の解明へと繋げていく。
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Causes of Carryover |
予定していた物品の納品に想定以上の日数を必要としたため該当物品の購入を次年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の物品は次年度の助成金から使用する予定である。
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[Presentation] Observation strategy of the plasma wave experiment (PWE) onboard ERG2015
Author(s)
笠原 禎也, 笠羽 康正, 小嶋 浩嗣, 三好 由純, 井町 智彦, 土屋 史紀, 石坂 圭吾, 尾崎 光紀, 八木谷 聡, 熊本 篤志, 疋島 充, 加藤 雄人, 浅村 和史, 篠原 育, 松田 昇也, 太田 守, 栗田 怜, 高橋 直子
Organizer
地球電磁気・地球惑星圏学会第138回総会及び講演会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2015-10-31 – 2015-11-03