2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of water masses in the Kuroshio region based on Radiolarian assemblages
Project/Area Number |
15K17782
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 賢史 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (50728582)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Northwest Pacific / Kuroshio Current / Radiolaria / Paleoceanography |
Outline of Annual Research Achievements |
放散虫は動物プランクトンの中で唯一、表層から深層まで幅広い水深範囲に生息している生物であり、過去の海洋表層から深層に至る環境変化と気候イベントにおける生態系の応答を解読するのに有効な指標となる。しかしこれまでの研究は、黒潮海域における現生放散虫の研究が不足している為、過去の黒潮の変動を放散虫化石群集から復元することは問題であった。そこで本研究では黒潮海域の現生放散虫類の空間分布とその生態を明らかにすることを目的にし、過去40万年間の黒潮の変動を復元する事を目的にした。 北西太平洋における放散虫種の分布と海水温度、塩分、栄養塩、溶存酸素などとの関係性を明らかにする為にいくつかの海洋調査航海に参加し、プランクトン資料と表層堆積物資料を採取して来ました(KS15-4, KH16-6)。その後、研究所および大学で放散虫分析用な基礎的処理を行い、各資料の群集変動を分析しました。そこでプランクトンの研究からは浅い水深に生態する種は水温と栄養素の濃度に依存している事が明確になり、深い水深に生息する種の分布は水温と溶存酸素の濃度にコントロールされている可能性が高い事が明らかになった。表層堆積物の研究から主な種の地理分布が解明され、プランクトンの研究と合わせると北西太平洋の黒潮海域の放散虫種の空間分布が明らかになりました。その知識を元にして放散虫群集から過去の表層水温・中層水温を復元する手法も解明した。 現世の研究から得た基礎知識を応用して、過去40万年間の黒潮の変動を分析するために東シナ海北部に掘削されたIODP 346 サイトU1429のコア資料中の放散虫群集変動も分析しました。結果としては現代の黒潮の位置が形成されたのは過去13万年前からだと考えられる事がわかりました。
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