2017 Fiscal Year Annual Research Report
Sound velocity and density measurements of solid iron alloys under high-pressure and high-temperature conditions
Project/Area Number |
15K17784
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴崎 裕樹 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10730830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球惑星内部 / 高温高圧 / 弾性波速度 / 超音波法 / 金属物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震波観測により得られている地球核の密度や音速は、数少ない核の直接的な情報である。これらの物理学的データと隕石などの化学的な研究から、地球の核は鉄と少量の軽元素で構成されていると考えられている。この軽元素の種類や量を解明するために、鉄や鉄合金の高温高圧下での密度や音速が測定され、観測値との比較がなされている。実験値と観測値を比較する際、音速―密度の関係がよく用いられる。この関係は経験則として、温度・圧力に依存せず線形関係にあることが知られているが(バーチ則)、近年の理論的・実験的な研究により、高温では線形関係から逸脱することが指摘されている。しかしながら、未だにバーチ則の温度依存性について共通の見解が得られていない。 そこで本研究では、バーチ則の温度依存性を明確にするために、固体鉄(bcc相、fcc相)の音速を、超音波法を用いて高温高圧下で測定した。まずは、低圧低温相であるbcc相に関して測定を行い、その結果、縦波速度(Vp)と横波速度(Vs)共に、温度上昇とともにバーチ則から低速度側に逸脱することが分かった。また、その温度の効果は、VpよりVsの方が2倍程度大きいことが分かった。 本年度は温度・圧力領域を拡大し、bcc-Feの高温相であるfcc-Feについて、約20GPa, 1400Kまでの温度圧力範囲で密度・音速測定を行った。これによると、bcc-Feと同じく温度上昇とともに線形関係から逸脱し、低速度になることが分かった。また、その温度効果は、bcc-Feの約2倍であった。一方で、温度一定下では、バーチ則は成り立ち、その傾きに関しては、Vp, Vs共に、bcc-Feとfcc-Feの間に違いは見られなかった。 今回得られたfcc-Feの音速は、過去の実験値よりも低速であった。したがって、月の核中の軽元素は、これまでに報告されている値よりも少ない可能性を示す結果となった。
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Research Products
(4 results)