2018 Fiscal Year Research-status Report
オフィオライト海洋地殻を用いた熱水変質に伴う元素移動モデルの確立
Project/Area Number |
15K17790
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山岡 香子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30610399)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2021-03-31
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Keywords | 海洋地殻 / 熱水変質 / 同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、白亜紀の海洋地殻であるオマーンオフィオライトを用い、海洋底からモホ面に至る海洋地殻断面の総括的な化学組成プロファイルを完成させ、低温から高温までの熱水変質における物質収支を定量的に見積もることである。この試料セットについては、二次鉱物組成、ストロンチウム・酸素・ホウ素の同位体組成がすでに報告されており、熱水変質の反応条件が明らかとなっている。本研究ではこれまでに、XRFやICP-MSを用いて主要・微量元素の分析を行い、良好な結果を得た。今年度は、オマーンオフィオライトで採取された変質度の低い玄武岩を、0.5 mm程度の大きさに砕き、顕微鏡下で未変質ガラスを拾い出して分離する作業を行った。この作業の補助のために、テクニカルスタッフ1名を雇用した。さらに、極少量の岩石試料の各種同位体を分析するための同時化学分離ルーチンの構築に取り組んだ。イオン交換樹脂を用い、カラムの容量や溶離液の種類を変えながら検討を行った。当初予定していたホウ素・リチウム・鉛・ネオジム・ストロンチウム同位体組成に加えて、鉄の同位体組成についても重要と考え、すでに分析法が確立されているハワイ大学との国際共同研究を目指して、研究設備の視察及び研究打ち合わせを行った。本年度はまた、AOGS 15th Annaul Meetingに参加し、海洋地殻の熱水変質に関する最新の研究について情報収集を行うとともに、文献資料を収集してこれまでの知見を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は最終年度であったが、実施期間中に13ヶ月間の研究マネジメント部門への出向があったため、試料分析や成果公表が当初の計画からやや遅れている。したがって補助事業期間延長申請を行い、1年間の延長が承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、予定している分析を完了させ、データの解析及び論文化に取り組む。
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Causes of Carryover |
次年度は、分析のための消耗品や、成果発表のための旅費・英文校閲費として使用する。
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