2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis on paleocean redox condition based on the concentration, speciation, and stable isotope ratio of cerium
Project/Area Number |
15K17793
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究員 (50726958)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セリウム / 希土類元素 / 安定同位体比 / 酸化還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はセリウム(Ce)異常・Ce化学種・Ce安定同位体比の三位一体の分析という、研究代表者が実験系での基礎データから研究を進めてきた新たな地球科学的指標を用いて、地球史における海洋酸化還元状態の解明を目的としている。 当初の研究計画では平成28年度は前年度に引き続き炭酸塩試料のCe異常・Ce化学種・Ce安定同位体比分析を行う予定であったが、より高精度での古海洋酸化還元指標を目指して前年度に追加で行った様々なpH条件下でのCe安定同位体分別の追加実験の継続と、現代の古環境模擬沈殿物(モダンアナログ)のCe安定同位体比測定を行った。モダンアナログのCe安定同位体比測定では、海水起源・続成起源・熱水起源という異なる3種の鉄マンガン酸化物の分析を行った。モダンアナログ分析では、海水起源の試料が有意に高い値を示すという顕著な結果が得られたが、続成起源と熱水起源では誤差の範囲内で同じ値となった。 モダンアナログのCe安定同位体比分析結果に加え、炭酸塩試料中のCe濃度が極めて低いことから、平成28年度は高精度・高感度Ce安定同位体比測定法の開発を急遽行った。現在までに以前の5~10倍の感度で測定することが可能となっている。測定精度に関しては若干の向上のみではあるが、測定に必要とする試料量が従来の1/5~1/10まで減少したことは、低濃度の炭酸塩試料測定において極めて価値のある成果である。現在、平成28年度に行った高精度・高感度Ce安定同位体比測定法の開発に関する論文を執筆しており、本研究の計画にあった炭酸塩試料の分析はその後、平成29年度中に行う。
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