2015 Fiscal Year Research-status Report
kT級磁場下における超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用の物理
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15K17798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畑 昌育 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 特任研究員 (60712429)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザープラズマ相互作用 / 超高強度レーザー / 強磁場 / 電磁粒子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,サブキロテスラから数十キロテスラの磁場印加下における超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用の磁場に依存したドラスティックな変化を特徴的な現象ごとに分けて系統的に研究を進めることで,その物理を明らかにすることを目的としている. 当該年度は,サブキロテスラからキロテスラ程度の磁場強度を想定し,超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用の二次元相対論的電磁粒子シミュレーションに取り組んだ.また,実験研究者が500テスラ程度の外部磁場印加下における超高強度レーザープラズマ相互作用実験を実施したため,その実験結果との比較のために,レーザー加速電子に着目して,シミュレーション研究を進めた.実験ではレーザーにより加速された電子が裏面から飛び出す際に観測されるコヒーレント遷移放射の空間プロファイルおよびスペクトル特性が計測されている.そこで,シミュレーションにおいてレーザー加速電子の特性を調べ,その結果発生するコヒーレント遷移放射がどのようなスペクトル形状になるかを見積もることで,実験との比較を行った.その結果,定性的に実験とシミュレーションとの結果が合うことが確認された.さらに,シミュレーションにおいて,外部磁場印加時に高エネルギー電子が磁場によりガイドされている様子がはっきりと確認され,レーザー加速電子のフラックスがターゲット裏面において局所的に上昇することがわかった.実験では,コヒーレント遷移放射が外部磁場印加時に増強されることがわかっており,レーザー加速電子のフラックス上昇によるものであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低い磁場強度領域の研究において実験が先行しているため,実験との比較を念頭においてシミュレーション研究を進めた.そのため,実験的に検出の難しい双極渦構造生成にはあまり着目せず,生成される高エネルギー電子に着目することにした.双極渦生成については次年度に研究を進めることにしたため,当初の計画よりも若干研究に遅れが生じている.しかしながら,実験との比較という新しい研究展開ができており,全体としては順調に研究が進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
実験可能なパラメータ領域については,実験研究者と連携し実験とシミュレーションとの比較を行いながら研究を進める.そして,現状実験することのできない強い磁場強度のパラメータ領域については,シミュレーションのみで当初の研究計画通りに研究を進める予定である.
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Causes of Carryover |
学会参加費が想定よりも多くかかったため,前倒し請求を行った.その結果,必要額を上回る分が次年度使用額として残った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前倒し請求分は,本来次年度で使用するための助成金であるため,次年度使用額については当初の予定通り,次年度において適切に使用する.
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Research Products
(5 results)