2015 Fiscal Year Research-status Report
光電気化学表面力装置を用いた界面光電子移動へのイオン吸着効果の解明
Project/Area Number |
15K17801
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粕谷 素洋 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00582040)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 表面・界面 / 表面力測定 / 光電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,電極界面における光電子移動反応に対するイオン吸着・濃縮の効果の解明を目的としている.光電子移動反応に用いる電極界面に表面力測定を適用し,表面電荷密度・イオン吸着について評価し,また同じ電極上で光電子移動反応を誘起して反応収率やダイナミクスを調べ,電極界面のイオン挙動との相関について明らかにすることを目指す. 本年度は,電極表面間距離を制御しながら光照射が可能な電気化学表面力装置を構築した.また,有機光触媒として研究例のあるフタロシアニンと3,4,9,10-ペリレン四酢酸ビスベンズイミダゾールの積層膜について表面力測定可能な平滑表面の調製方法を検討し,二乗平均粗さ2 nm程度の表面の調製に成功した. さらに調製した膜電極表面間の表面力測定を,本年度構築した装置により測定し,水酸化カリウム水溶液中における相互作用力測定が可能であることを確認した.観測された相互作用力は距離の増加に伴って指数関数的に増加し,その減衰長は溶液塩濃度から算出されるデバイ長と一致することから,表面電位・電荷密度を見積もるのに必要な電気二重層斥力を観測できることが分かった.積層膜を構成する分子自体が電荷をもたないことから考えて,ここで観測された電気二重層斥力から得られる電荷密度はすべてイオン吸着に由来するものと考えられる. 加えて,この電気二重層斥力の大きさを可視光照射の有無で評価したが,両者に差が観測されないことから,光反応による表面電位の変化はないことが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,計画の通りに装置の構築と光電子移動反応を引き起こす有機半導体光触媒電極の調製を行い,また試測定を行って使用可能であることを確かめることができた. また電極表面間の表面力測定によって有機半導体光触媒電極における表面電位・イオン吸着の評価を計画通りに行うことができた. 以上のように,当初の計画通りに研究を進められたことから,「(2) おおむね順調に進展している。」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度,調製と予備測定に成功した有機半導体光触媒電極について,次年度は電気化学的電位制御のもとで表面力測定を行い,光照射の有無で電気二重層斥力の変化を調べる.光電子移動反応による表面電位の変化やイオン吸着の変化を調べ,これらと反応挙動との相関について調べて,電極界面の電荷・イオン挙動の反応機構における役割を解明することを試みる. また電極間距離の変化が光電極反応に及ぼす影響についても調べ,イオン濃縮等の閉じ込めの影響が反応に与える影響についても調べる.
|
Causes of Carryover |
購入予定であった電気化学アナライザーについて,既存のものを使用することで間に合わせることができ,またその他の消耗品等を節約することで,経費節約することができた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの研究計画で行っている有機半導体光触媒電極について電荷の正負を確認するための,測定に用いる試薬や基板の購入等に節約できた経費を有効に使用する予定である.
|