2018 Fiscal Year Research-status Report
演算子変換による効率的で汎用的な新奇時間発展法の開発:3項間漸化式法
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15K17811
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
赤間 知子 北海道大学, 理学研究院, 特任助教 (60580149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 効率的時間発展法 / ユニタリー性 / 非エルミート演算子 / 時間依存演算子 / 虚時間発展 / 拡散方程式 / 反応速度式 / 双曲線関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、汎用的で効率的な時間発展法として、演算子変換により導出された3項間漸化式に基づく時間発展法(3項間漸化式法)を開発することを目的としている。 これまでに (A) Schroedinger方程式や量子Liouville方程式に対する3項間漸化式法の開発と拡張 (B) 拡散方程式や反応速度方程式への3項間漸化式法の応用 の2つの研究を行ってきた。今年度は、このそれぞれについて研究を進めた。(A)については、まず、電子ダイナミクスにおけるイオン化等の記述の際に必要になる非エルミート演算子の場合への拡張に関する研究を行った。これまでの定式化に基づいてプログラムの実装を進めた。開発中のプログラムを用いて計算を行い、非エルミート演算子の場合も3項間漸化式法による時間発展が可能であるという予備的結果が得られた。また、強レーザー場等を想定したシミュレーションを行う際に必要だと予想される時間依存演算子の場合への拡張については、継続して式の検討を行った。また、研究実施計画にはないが、3項間漸化式法が虚時間発展法にも応用できる可能性があることがわかり、虚時間発展法への拡張にも着手した。(B)については、昨年度行った双曲線関数を用いた定式化に基づき、プログラムの実装に着手した。 また、研究実施計画にはないが、星間分子の解離性再結合反応過程において、電子ダイナミクス計算を用いて電子の捕獲過程を考慮する応用研究も行った。特に、indirect processと呼ばれるRydbreg軌道を経由する過程について、カチオン分子のRydberg軌道に電子を追加した状態から電子ダイナミクス計算を行うことにより、電子捕獲過程を記述する方法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第1子の妊娠・出産に伴い成27年度中に提出した「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請書」に記載した研究計画に沿って研究を進める予定であったが、その後、第2子を妊娠・出産したため、研究にやや遅れが生じた。具体的には、第2子を平成29年に妊娠し、体調面等から一部の研究を進めることが少し困難になった。平成29年10月の第2子出産に伴って産前産後休暇を取得し、その後保育所に入れず待機児童になったため平成30年3月まで育児休業取得することになり、この期間は研究を中断しなければならなかった。平成30年4月に復職後したが、二人の子の養育による多忙のため、十分な研究時間の確保が難しく、研究を十分に進めることができなかった。このような状況下で、3項間漸化式法の非エルミート演算子や時間依存演算子の場合への拡張、拡散方程式・反応速度式等への拡張を進めてきたが、研究の進捗はやや遅れており、補助事業期間を1年延長して研究を継続することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに取り組んできた非エルミート演算子・時間依存演算子の場合への拡張の研究を進め、式の検証とプログラム実装・数値検証の続きを行う。また、拡散方程式や反応方程式への応用についてもプログラムの実装を進め、数値検証を行う。また、虚時間発展への応用や、星間分子の解離性再結合反応への応用の研究も引き続き行う。
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Causes of Carryover |
理由:第2子を妊娠し平成29年10月に出産し、その後保育所に入れず待機児童になったため平成30年3月まで育児休業を取得し約半年間の研究中断があったことにより、研究費の使用時期が延期されたため。 使用計画:昨年度延期した消耗品の購入及び英論文校閲費、出張旅費、学会参加費等として使用する予定である。
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