2016 Fiscal Year Annual Research Report
Superfluid helium droplet beam for exploring ultracold molecular dynamics
Project/Area Number |
15K17817
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久間 晋 国立研究開発法人理化学研究所, 東原子分子物理研究室, 研究員 (50600045)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超流動ヘリウム液滴 / 極低温分子 / 低温化学 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では超流動ヘリウム液滴法を極低温分子イオンダイナミクスの鍵となる長時間観測へと展開することを目指す。これまでヘリウム液滴は内部に捕捉した多様な中性分子を振動・回転自由度を含めて温度0.4Kまで急冷する手法として用いられてきたが、ビームとしての寿命はミリ秒程度以内に制限されてきた。この液滴ビームを長寿命化するために、内部に捕捉した分子イオンに対する静電場速度制御により液滴速度自身を制御することが可能となる。昨年度までに液滴ビームのパルス化に成功し、高強度パルスヘリウム液滴ビームの生成に成功している。 本年度はこのパルス液滴ビーム生成を大幅に改良した。昨年度までにあった液滴生成バルブのリークを解決し真空装置内の背景圧力を下げることが可能となった。さらにバルブの冷却法を工夫し温度7K以下まで冷却できている。これらの改良により液滴サイズが大幅に拡大し、液滴径が2ミクロンに及ぶ巨大ヘリウム液滴を生成することに成功した。特に液滴サイズのバルブ温度依存性を精査し、パルス液滴ビーム生成過程においても、(これまで連続液滴ビームで確認されている)「supercritical expansion」と呼ばれる巨大液滴を生成するための条件が明瞭に観測されることを初めて示した。さらに巨大液滴に特徴的な液滴ビームの質量スペクトルを観測することに成功している。 この液滴に水分子を捕捉後、さらに電子衝撃法でイオン化し、1 kVの静電場を用いた速度制御実験を行なった。ヘリウム原子数に依存した最終速度の分布を観測した。 さらにヘリウム液滴に捕捉した中性分子の多光子イオン化を実現するために、イオン化用紫外レーザーの開発を進めた。イオン化に十分と予想される強度のパルス紫外光の生成に成功している。このように、より多様なイオンをヘリウム液滴に捕捉した実験へ向けた取り組みを進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Single-atom response of helium atoms to pulses from an EUV free-electron laser: Implications for the subsequent development of superfluorescence2016
Author(s)
James R. Harries, Chiaki Ohae, Susumu Kuma, Kyo Nakajima, Tadashi Togashi, Yuki Miyamoto, Noboru Sasao, Hiroshi Iwayama, Mitsuru Nagasono, Makina Yabashi, and Eiji Shigemasa
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Journal Title
Physical Review A
Volume: 94
Pages: 063416
DOI
Peer Reviewed
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