2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17826
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高石 和人 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (70513430)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビナフチル / ビピリジル / スイッチング / キロプティカル特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトン化/脱プロトン化によって立体構造や光学特性が大きく変化するスイッチ化合物創製を目指し、軸性キラルな 1,1’-ビナフチル骨格と 3,3’-ビピリジル骨格をスペーサーを介して環状に連結させた化合物を設計した。この骨格に適した置換基を導入すれば、プロトン化/脱プロトン化によってビピリジルの軸の立体反転およびキロプティカル信号の正負反転が達成しうる。 (1) 置換基を持たない (R)-1,1’-ビナフチルと 3,3’-ビピリジルが連結した環状化合物を合成した。X 線結晶構造解析の結果、3,3’-ビピリジルの軸は R に誘導されることが分かった。さらにいくつかの位置異性体や類似化合物を合成し、結晶構造解析を行ったところ、いずれの化合物も同様の不斉誘導が観測された。 (2) (R)-ビナフチルの 3,3’-位にメトキシ基またはホルミル基を持つ環状化合物を合成した。メトキシ基を持つ化合物のビピリジルの立体は無置換体と同様に R であった。しかしホルミル基置換体では S であり、置換基の種類によってビピリジルの立体構造が異なることが分かった。現在、プロトン化体の立体構造解析を進めている。 (3) 合成した環状化合物のプロトン化/脱プロトン化に伴うキロプティカル特性のスイッチング挙動を調査した。そのうちメトキシ基置換体ではプロトン化/脱プロトン化によって、旋光性の正負が反転するという興味深い知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかのビナフチル-ビピリジル環状化合物を合成し、それらの特異な立体構造を明らかにしている。また、プロトン化/脱プロトン化に伴う旋光性の正負反転などの興味深い光学特性を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず既に合成を達成したビナフチル-ビピリジル環状化合物について、プロトン化体の立体構造およびキロプティカル特性を明らかにする。また、ビピリジル部位に発色団を導入し様々なキロプティカル特性のpHスイッチングを検討する。プロトン化/脱プロトン化によって導入した発色団同士の位置関係が反転すれば、発色団に由来するキロプティカル信号の正負も反転し、本骨格を持つ化合物特有の機能化展開ができうる。さらに光異性化部位を導入し、立体反転だけでなくその角度を変化させられる骨格を創製する。
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Causes of Carryover |
試薬やガラス器具等の消耗品を使用する実験について、当初の予定より効率的に進行させることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
合成反応や機器分析に必要な試薬やガラス器具を購入する。また、機器使用料や研究成果発表のための旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)