2016 Fiscal Year Annual Research Report
Syntheses of molecule-responsive porous materials based on one-dimensional electron system
Project/Area Number |
15K17828
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井口 弘章 東北大学, 理学研究科, 助教 (30709100)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一次元電子系 / 強相関電子系 / 有機伝導体 / ナフタレンジイミド / 配位高分子 / 電子・電気材料 / 結晶工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子の吸脱着が可能な多孔性一次元電子系物質の創製を目的に、(1)一次元鎖錯体(MX錯体)、(2)πスタックカラム、を骨格に導入した多孔性配位高分子 (MOF) の研究を行ってきた。いずれのアプローチにおいても、初年度に予期しない興味深い結果を得ることになった。 (1)では、ヒドロキシメチル基を有するエチレンジアミン (dabdOH) を配位子としたPdBr錯体 [Pd(dabdOH)2Br]Br2 が安定な平均原子価状態を有することを発見した。最終年度ではこの錯体の詳細を明らかにするために種々の測定を行った。この錯体の電気伝導率は初年度よりも正確に見積もることができ、最大38 Scm-1と、PdBr錯体としてのこれまでの最高記録から100万倍も向上していることが明らかとなった。また、試料を加熱しても平均原子価状態から混合原子価状態への相転移が現れることはなく、443 Kで分解が起こった。このような高温まで平均原子価状態を維持しているPdBr錯体は初めてである。詳細な検討の結果、面内配位子のヒドロキシ基が対アニオンであるBr-イオンを遠ざけることで、一次元鎖間が離れ、代わりに一次元鎖方向への圧縮が起こったことで、平均原子価状態が安定化されたものと考えられる。 (2)では、電解還元法がπスタックカラムを有するMOFの構築に有効であることを初年度に明らかにしていたが、最終年度ではこれを種々の金属イオンや、ナフタレンジイミド骨格を有する配位子へと展開し、多くの種類の化合物を合成した。また、適切に嫌気下条件を保つことができれば、化学還元法も適用可能であることを発見し、特に多くの量を一度に合成する際には、電解還元法よりも有力な手法であることが明らかとなった。この化学還元法で、中性MOFを後から還元して伝導性を付与することにも成功した。
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Research Products
(13 results)