2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17830
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大江 一弘 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90610303)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超重元素 / ラザホージウム / 溶媒抽出 / キレート配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、104番元素ラザホージウム(Rf)について、有機配位子との錯形成挙動を溶媒抽出法により調べることを目的としている。Rfは人工放射性元素であり、その合成可能量が極端に少ないこと、半減期が非常に短いことから、実験的制約が非常に厳しく、化学的性質はあまり明らかとなっていない。Rfの化学研究を行うに際し、同族元素であるジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)を利用して、模擬実験により適切な実験条件の検討を行っておくことが重要である。本年度は、ZrおよびHfの放射性トレーサーを使用してバッチ法による溶媒抽出実験から、これらの元素と有機配位子との錯形成を調べた。実験では有機配位子としてキレート抽出剤である2-テノイルトリフルオロアセトン(HTTA)およびジ-2-エチルヘキシルリン酸(HDEHP)を使用し、トルエンで希釈して有機相として用いた。水相には硝酸、過塩素酸を用いた。酸濃度3 Mにおいて、Zr、Hfの分配比の抽出剤濃度依存性から抽出反応に関与する有機配位子の数を調べたところ、HTTA、HDEHPともに4分子(HDEHPは二量体)反応することが分かった。これはM(TTA)4やM(DEHP・HDEHP)4 (M = Zr, Hf)といった錯体が抽出されていることを示していると考えられ、Rfが同様のキレート錯体を形成するかどうかを調べるための適切な実験条件を明らかにできた。また、Zr、Hfは非常に性質が似通っていることで知られているが、HTTAによる溶媒抽出ではZrの分配比がHfより10倍程度大きく、抽出挙動に差があることが分かった。一方で、HDEHPによる抽出ではHfの分配比がZrより大きくなり、抽出の順序がHTTAと逆になることが分かった。本抽出系をRfに適用することにより、Rfの有機錯体の安定性に関する情報が得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度は、計画していたZr、Hfの溶媒抽出実験をおおよそ予定通りに進めることが出来、現状では順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Rfの溶媒抽出実験を行うに際して、Rfの半減期が非常に短いことから、迅速溶媒抽出装置の開発を進める必要がある。予定通り、フローインジェクション分析法を応用した溶媒抽出装置の開発を行い、これまでのZr、Hfのバッチ法による溶媒抽出実験の結果を基に、短時間でZr、Hfの抽出が可能かどうかを検討する。また、実際のRf実験を模擬し、迅速溶媒抽出装置による短寿命のZr、Hf放射性同位体の抽出実験を行い、開発した装置がRfに適用可能かどうかの評価を行う。
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Research Products
(3 results)