2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17833
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大谷 亮 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (30733729)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 熱膨張 / ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に合成した[Mn(salen)]2[Mn(N)(CN)4]をメタノールとアセトニトリルの二種類の溶媒分子により修飾した固溶体型二次元配位高分子を合成し、混合する溶媒分子の割合を変化させることで熱膨張挙動について制御することに成功した。特に、適切な割合調節により膨張と収縮が同期して巨視的に熱膨張を示さない膨張率ゼロを達成した。また、水やエタノールなどの溶媒分子およびPt(CN)4などの錯体ユニットの変更により同型の骨格構造を有する二次元配位高分子の類縁体を合成することで熱膨張挙動の詳細なメカニズム解析を行ったところ、二次元シート内に存在する配位構造歪みが熱応答性に寄与し、salen配位子の回転による歪みの緩和によって構造変化していることが明らかとなった。膨張と収縮の違いに関しては歪みの方向により決まることが分かった。現在は、歪みの発現メカニズムについて検討しているところである。 また、salen配位子を炭素数16のアルキル長鎖で修飾することで、二次元シート間距離を伸ばした[Mn(salen-C16)]2[Mn(N)(CN)4]を合成した。単結晶を得ることはできなかったが、得られた粉末はSEM画像からシートが積層した層状形態であることが分かった。この粉末サンプルをヘキサン溶液中で超音波処理したところ分散液が得られ、上澄み液のAFM測定から、数層重なった非常に大きなナノシートが得られていることが分かった。現在は、単層ナノシートを得るための最適な合成条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成した二次元配位高分子の熱応答性に関して詳細なメカニズム解析に成功した。得られた知見は、他の配位高分子材料にも適応可能であると考えられ、今後の材料設計に貢献できると考える。また、配位子修飾により層間を広げ、超音波剥離によるナノシートの合成に成功した。以上より、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ナノシート作成に用いる溶媒、超音波処理時間について検討し単層ナノシートを得るための合成条件を確立する。またボトムアップ的合成手法についても検討する。[Mn(salen-C16)]2錯体ユニットの中心金属イオンをAlに変えて同様に合成することで、得られるナノシートの蛍光特性評価を進めていく。
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Research Products
(10 results)