2015 Fiscal Year Research-status Report
温和な条件下での水素分子活性化を目指した錯体触媒内包ナノ空間の創製
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15K17836
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
高嶋 洋平 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 助教 (40720652)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触媒 / 多孔性金属錯体 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ガス吸着を得意とする多孔性金属錯体とガスの変換を得意とする触媒を複合化することにより、温和な条件下でのガス反応システムの構築を目指した。研究計画としては、(1)多孔性金属錯体の合成および触媒の複合化、(2)得られた複合体を用いた反応検討およびさらなる機能化からなっている。今年度は、まず本システムに適した多孔性金属錯体の合成から取り掛かった。イオン交換反応にて錯体触媒やナノ粒子触媒前駆体を固定化するため、スルホン酸基をイオン交換基とする多孔性金属錯体の合成を試みた。種々検討の結果、塩化クロムとスルホン酸基を有するテレフタル酸から合成されるフレームワークが本システムに適していることが明らかとなった。また、多孔性金属錯体が本来有する欠陥も触媒を固定化するサイトとして利用可能であると考え、欠陥を多く有する多孔性金属錯体の合成も行った。次に得られたフレームワークと触媒との複合化を試みた。まず、イリジウム系錯体触媒を用いて複合化を行ったところ、期待通り、触媒はイオン交換反応にて細孔内に導入された。しかしながら、触媒活性は中程度にとどまりイリジウム系触媒はその活性を維持したまま細孔内に担持することが困難であることがわかった。そこで、イリジウム系錯体触媒と同様の反応性を示すことがわかっているロジウム系錯体触媒を用いて同様の複合化を行ってみたところ、複合化は問題なく進行し、また高い触媒活性も維持されることがわかった。実際、モデル反応として1-オクテンの水素ガスによる水素化反応を検討したところ、ロジウム触媒のみの場合よりも複合体のほうが高い触媒活性を示した。この結果は、本研究の目的である温和な条件下でのガスを用いた反応システムの構築を強く示唆するものである。また、金属イオンを固定化後水素ガスで還元することにより、ナノ粒子が固定化された多孔性金属錯体の合成にも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり多孔性金属錯体と錯体触媒の複合化に成功しており、またその複合体が水素ガスを用いた水素化反応において高い触媒活性を示すことも確認している。現在、1-オクテン以外のさまざまな基質を用いた水素化反応へと展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で複合化およびそれを用いた水素化反応に成功している。そこで次年度はより温和な条件下(低水素圧下)で水素化反応を進行させるためにフレームワークに対するさらなる機能化や金属ナノ粒子内包フレームワークの利用などを試みる。
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Causes of Carryover |
当初の予定では設備備品として反応を追跡するためのガスクロマトグラフを購入する予定であったが、交付額から考えて購入するのは困難であると判断し購入を断念した。その結果次年度使用額が多くなってしまっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多孔性金属錯体の合成やガス反応を行う上で必要となる水熱容器の使用頻度が非常に高いため、追加で購入を予定している。
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Research Products
(7 results)