2015 Fiscal Year Research-status Report
ホスラクトマイシン類の効率的合成法の確立と創薬研究に向けた誘導体の合成
Project/Area Number |
15K17853
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 熟人 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (50611109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホスラクトマイシン / ロイストロダクシン / キレーションコントロール / 立体選択的合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスラクトマイシン類(ロイストロダクシン類を含む)は脱リン酸化酵素の一種であるプロテインホスファターゼ2A(PP2A)に対して選択的阻害活性を示し,脱リン酸化酵素を標的としたリード化合物として注目されている。しかし,ホスラクトマイシン類は天然からの入手が困難であり,一方で化学合成による供給も工程数や立体選択性の問題から難しい。こうした背景を踏まえ,我々はホスラクトマイシン類の効率的合成法の確立を目指し,基本骨格となるホスラクトマイシンBおよびエステル基を含むホスラクトマイシンI-jをターゲットとして研究を行った。 まず,ホスラクトマイシン類に共通するC9位からC11位の不斉を立体選択的に構築した。すなわち,オレフィンに対してシャープレス不斉ジヒドロキシ化反応を行い,C9位を立体選択的に構築した。この立体を活用して,キレーションコントロールにより側鎖を導入してC8の不斉中心を得た。続いて,側鎖の官能基変換を行った後,C11位の不斉中心を不斉水素移動反応により構築し,3つの不斉中心を含むC5位からC13位の骨格を合成した。 続いてシクロヘキシル部分を合成した。シャープレス不斉ジヒドロキシ化やDiels-Alder反応を経て光学活性カルボン酸を合成した。その後,ヨードラクトン化,Storkらにより報告されたWittig反応によりヨードオレフィンを構築しシクロヘキシル部分を合成した。 これらをカップリングして全骨格を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シャープレス不斉ジヒドロキシ化反応とそれに続くキレーションコントロールによる連続不斉中心の構築に成功し,非常に高い立体選択性でC5位からC13位骨格を合成した。一方で,シクロヘキシル部分はスチルベンから立体選択的に構築し,これらをカップリングして全骨格を合成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,全合成に向けて官能基変換を行う。また,シクロヘキシル部分はキラルプール法を活用した方法を検討し,当初よりも短工程合成を達成する。全合成を達成次第,誘導体合成を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画していた不斉試薬類の購入が,予定より少ない量で合成を達成できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,前年度未使用額と平成28年度請求分と合わせて,ホスラクトマイシン類とその誘導体の合成に必要な不斉試薬等の購入に充てる。
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