2015 Fiscal Year Research-status Report
カチオン-π相互作用による基質の活性化に基づいた芳香族C-H官能基化反応の開発
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15K17854
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩本 貴寛 京都大学, 化学研究所, 助教 (50735355)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カチオン-π相互作用 / C-H官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,基質と配位子間のカチオン-π相互作用による活性化を利用した芳香族C-H官能基化反応の開発を検討した。反応中にカチオン-π相互作用を担う金属カチオンを取り込むことが可能な配位子としてアザクラウンユニットを持つ配位子を設計し,合成を行った。リンカー部位に柔軟なアルキル鎖を持つ配位子では二段階の求核置換反応を行うことで,望みの配位子を合成することに成功した。しかしながら,本合成法ではリンカー部位の構造により,収率の低下および単離が困難となることが分かった。今後は,より汎用的な合成法として,求核置換反応の際の脱離基の検討を行うことで,様々な配位子合成へと展開可能な合成法を確立する予定である。また,合成に成功した配位子を用い触媒反応の検討にも着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの配位子の合成には成功し,すでに触媒反応検討にも着手している。平成27年度からは,多様なリンカー部位を持つ配位子ライブラリーの構築と触媒反応検討を行う予定であり,おおよそ当初の計画通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,様々なリンカー部位や配位部位を持つ配位子のライブラリー構築を行うために,本年度見出した合成法の最適化を行う。具体的には,脱離基などの検討を行い,収率の向上および精製法の確立を目指す。並行して,合成に成功した配位子を用い触媒反応の検討も行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度4月18日に研究室で火災があり,その復旧に9か月ほど要した。その間実験を行うことができなかったため,当初の計画よりも物品費や旅費などの使用が少なく次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り,物品費として1,930,953円(前年度繰越額:830,953円),旅費として231,770円(前年度繰越額:-68.230円)およびその他の経費として335,236円(前年度繰越額:135.236円)を計上する。
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