2015 Fiscal Year Research-status Report
分子内架橋構造を有するブロック共重合体の精密合成と自己組織化ナノ構造制御への応用
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15K17862
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
磯野 拓也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70740075)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子内架橋 / ブロックコポリマー / メタセシス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブロックコポリマーリソグラフィーへの応用を志向し、10~20 nmオーダーでミクロ相分離を制御可能なブロックコポリマーの設計指針を確立することである。これを達成するための鍵として「高分子鎖の広がり」に着目し、これを抑制する手段として分子内架橋構造をブロックコポリマーに導入するという着想に至った。 本年度は分子内架橋ブロックコポリマーの合成に先立ち、オレフィンを側鎖に有する様々な直鎖状ポリマーを前駆体として分子内架橋反応を行った。具体的には、ポリメタクリレート、ポリスチレン、および脂肪族ポリエステルを主鎖とする前駆体を用い、Grubbs第2世代触媒を用いて分子内架橋反応を実施した。各種分光学的測定および溶液物性解析の結果、何れの前駆体を用いた場合でも望みの分子内架橋反応が進行していることが明らかとなった。また、前駆体の一次構造と分子内架橋生成物のサイズに関する相関についても検討することが出来た。加えて、分子内架橋反応に用いる溶媒が分子内架橋生成物のサイズに大きく影響することも見出した。以上の結果について、現在、論文化を進めている。 上記の知見をもとに、オレフィンを側鎖に有するブロックコポリマーを前駆体とした分子内架橋を試みた。具体的にはポリスチレンと脂肪族ポリエステルからなるブロックコポリマーを用い、Grubbs第2世代触媒を用いて分子内架橋反応を実施した。その結果、ホモポリマーと同様に分子内架橋反応が進行し、望みの分子内架橋ブロックコポリマーを与えた。さらに、分子内架橋反応の条件あるいはオレフィン含有量などを適切に選択することで、分子内架橋ブロックコポリマーの分子の広がりを制御することも可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする分子内架橋ブロックコポリマーを合成する手法を確立することが出来た。さらに、本手法の普遍性についても確認できつつあり、平成27年度に行うべき合成の基礎検討はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、いくつかの分子内架橋ブロックコポリマーが得られているので、これらについて早急にバルク中における自己組織化の検討を行う。その結果をフィードバックし、新たな分子内架橋ブロックコポリマーを分子設計する。分子設計を最適化していくことで、最終的に、10nm以下の周期構造をもったナノ構造を発現可能な分子内架橋ブロックコポリマーを開発する。
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Causes of Carryover |
3月中に全ての物品が納品されたが、事務手続き上の問題で4月支払いとなったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月中に速やかに該当分の支払いを行う。
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