2016 Fiscal Year Research-status Report
不均一系触媒を用いた位置選択的直接的アリール化によるπ共役系高分子合成
Project/Area Number |
15K17872
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
林 正太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 助教 (00532954)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 直接的アリール化 / π共役系高分子 / 不均一系パラジウム触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、不均一系パラジウムを触媒とした直接的アリール化重縮合を検討することでヘテロール類を位置選択的に連結し、π共役系高分子を効率的に合成することを目的に研究を行った。このテーマに即した形で、不均一系パラジウムとして知られるパラジウム炭素(Pd/C)を触媒とした直接的アリール化重縮合法を構築した。チオフェン、フラン、セレノフェンなどの様々なヘテロール類に対する直接的アリール化によって、β位への副反応を抑えながらπ共役系高分子の合成が行えることを明らかにした。また、それぞれのヘテロールの重縮合について詳細に検討したことで、その反応性と選択性の関係について議論できた。関連論文が4報、学術雑誌に掲載されている。 また、様々な触媒系をテストすることで、塩化パラジウムが重縮合を非常に効率的する現象を発見した。これは塩化物イオンが反応性と触媒の安定性に寄与していることに起因する新しい結果である。この現象を応用した不均一系触媒(PITS)も開発した。これにより、高分子量・低構造欠損の高分子を得るための重要な合成プロセスを構築できたと言える。本件に関連する論文は4報、学術雑誌に掲載されている。加えて、様々な分子量のπ共役系高分子が合成できたことを受けて、分子量に対する物性の違いについても調査し、この成果が論文誌に掲載を果たした。 直接的アリール化重縮合に関連して、キサンテンをモノマーとした環状分子や様々なフルオロアレーンをモノマーとした分岐状高分子やネットワーク高分子の合成法についても報告した。関連論文は3報、学術雑誌に掲載された。 直接的アリール化重縮合に関する招待講演は2件行っており、学術論文と合わせて多くの成果を出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
想定よりも掲載を果たした論文数が多いことに加え、招待講演の依頼もあり、この分野において十分に貢献をしていることが実感できている。この研究を推進する過程で、塩化物イオンの反応に対する影響などのあたらしい研究を発掘することもでき、次に繋がる重要な研究プロセスであったと言える。当初の計画に加えて、派生して得られた計画もほぼ十分にこなせていることから、三年目にまた大きな成果が生まれることを期待できる進捗具合である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を基盤にした様々な高分子の合成を行い、電子デバイスへの展開をにらんだ次の研究を検討している。
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Causes of Carryover |
平成29年度に本テーマに関連した研究を新たな学生に与えるため消耗品費として残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たなテーマに使用するモノマーの合成に使用する試薬に当てる予定である。
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