2015 Fiscal Year Research-status Report
生細胞内での遺伝子検出を指向した分子移動型プローブの開発
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15K17876
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柴田 綾 岐阜大学, 工学部, 助教 (50462693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 芳香族求核置換反応 / クリック反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
生細胞内RNAの検出の際には、過剰量の試薬を洗浄・除去することができないことから、標的特異的な蛍光シグナルを発生させる必要がある。その方法として、標的核酸を鋳型とした化学反応プローブがある。この遺伝子検出法は標的核酸を鋳型とした反応サイクルを回すことで、シグナルを増幅することができる利点を持つ。しかし現在の所、生細胞内で検出できるRNAはβアクチン等の細胞内で発現量の多い遺伝子に限られており、さらなる検出感度の向上が求められている。加えて、これらのプローブの多くは蛍光基質の構造変化をシグナル発生の鍵としているため、使用できる蛍光波長に制限がある。実際、申請者はこれまでに芳香族求核置換反応を利用した化学反応プローブを用いて0.5 pMの微量遺伝子のシグナルを1500倍に増幅することに成功している。しかし、青色蛍光のクマリンを用いていたため生細胞内への応用は困難であった。そこで、本研究では芳香族求核置換反応とクリック反応を組み合わせることでマルチカラー化を指向した分子移動型遺伝子検出プローブの開発を目指している。初年度は、化学反応部位の設計・合成を行った。 芳香族求核置換反応を利用した検出プローブは、転移部位を連結したプローブと求核攻撃を行う求核プローブの2本1組からなる。そこでまず初めにそれぞれの反応部位の設計・合成を行った。転移部位については、クリック反応で蛍光剤を連結するためのエチニル基を持たせた。また、芳香環に連結した置換基についての検討を行った。一方の求核部位は、細胞内で活性化するようにチオール基に保護基の導入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転移部位をDNA鎖に導入した後にアジド修飾蛍光色素とのクリック反応を試みているが、適切な条件を見出すのに難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
転移部位への蛍光剤の導入条件の検討を早急に行う。現在、申請者の研究室で見出した、銅配位子フリーの条件でクリック反応の検討を行っているが、加熱や銅配位子を用いた条件についても合わせて検討を行う。 プローブ合成が終了後は、試験管内反応を用いてプローブ間の距離を調節し、レシオ測定及び反応速度の最適化を行う。加えて、化学反応の回転による等温条件下での微量RNAシグナルの増幅を検討し、生細胞内での遺伝子検出を目指す。
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