単一分子電気化学の創出を目指したカーボンナノチューブ化学電極の高速電気測定

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K17880
• Research Institution: National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
• Principal Investigator: 岡崎 雄馬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 研究員 (60738277)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: カーボンナノチューブ / 電気化学 / 単一分子計測 / 微小電流計測

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、カーボンナノチューブ化学電極と微小電流計測技術を組み合わせて単一分子レベルでの電気化学反応の検出を目指している。初年度の研究では、カーボンナノチューブ化学電極作製のためのナノチューブ成長装置開発とそれを用いたデバイス作製のための条件出しなどを行った。
カーボンナノチューブ化学電極の作製はシリコン基板上の特定箇所にナノチューブを配置し、そこにリソグラフィーで電極を形成して作製する。ナノチューブを特定箇所に配置するために、基板上にリソグラフィーによって触媒金属を蒸着し、電気炉上でＣＶＤ成長法によって基板上に直接ナノチューブ成長する方法が本研究に最も適している。本研究ではまずＣＶＤ成長を行うための石英管電気炉を作製した。温度制御可能な石英炉にキャリアガスや炭素源であるアルコール蒸気を導入する装置、及び圧力計などの計測装置を付属させ、成長装置を完成させた。この成長装置を用いたカーボンナノチューブ成長においては、アルコールの流量や成長温度・圧力によって成長効率をコントロールできる。異なる成長条件化で生成した複数のサンプルを電子顕微鏡で観察し評価することで効率的にナノチューブ成長できる条件を探索する基礎実験を行った。現在、成長できるナノチューブの質を改善するためにより細かな流量コントロールが出来るようマスフローコントローラーなどを導入し装置を改良している。デバイス完成後はこれら作製した化学電極を電気測定して評価する必要があるが、その実験に向けた電気測定装置や構成部品などを調達し、今後の実験へ向けた準備も平行して行った。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の実験計画では、市販のナノチューブ分散溶液を用いて基板上にナノチューブを形成するプロセスなどを利用してデバイス開発する手法も検討していたが、この方法で基板上の特定箇所にナノチューブを配置することが困難であると判断し、自身で合成炉を作製しナノチューブ成長を行う方法を選択し実行した。ナノチューブの成長装置開発にはかなりの時間や研究費を要するかと思われたが、既存の部品の流用などによって比較的容易に合成炉を作製でき、条件出しも順調に行うことが出来たためナノチューブ化学電極作成に向けた基礎実験は比較的順調に進展した。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究計画としては、カーボンナノチューブ化学電極作製を行うための成長条件探索を引き続き行いより良質なナノチューブ成長を実現を目指す。それと平行して、電気化学実験を行うための実験装置開発を行う。具体的には、微小電流を測定するための電気測定回路の開発・作製を行いその基本的な特性評価を行う。カーボンナノチューブを用いない金属電極を評価用の化学電極として用いることで電気測定を行いその特性を評価し成果として外部発表を行う計画である。

Causes of Carryover

当初計画で購入を予定していた電子部品などの調達は実際に装置開発などを行う次年度以降に調達したほうが物品の選定などを効率的に行えると判断したため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

測定用電子回路などの製作時に必要な電子部品などを選定し、調達を行う。