2016 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンタンパク質由来フラグメントペプチドを用いたiPS細胞分化神経細胞への影響
Project/Area Number |
15K17887
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小嶋 絢 立命館大学, 薬学部, 助教 (10733587)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プリオンタンパク質 / 凝集 / 銅イオン / 糖鎖修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
プリオンタンパク質C末端フラグメントペプチドを用いて、その凝集メカニズムへの関与、およびiPS由来神経幹細胞に対するアポトーシス誘導について検討した。特に、昨年注目したPrP175-189などに加えて、凝集性への糖鎖修飾の影響を検討するためによりC末端側の糖鎖修飾部位でもあるPrP178-202を合成し検討に用いた。このペプチドはCysを含有しておりその影響もあり合成効率は非常に悪く、精製も困難であったことから試料の調製に長期間を要した。ついで、このペプチドを用いてプロテアーゼKを用いた酵素耐性獲得による凝集メカニズムの検討を行った。これまでに合成し所有しているペプチドは少なくとも水には一定の可溶性を示していたのに対して、PrP178-202は水を加えて静置すると凝集塊とみられる不溶性固体を形成し沈殿した。調製直後のPrP178-202に銅イオン存在下と非存在下においてプロテアーゼKを添加し、酵素分解をHPLCで観察したところ銅イオン存在下にでは経時的なクロマトの変化はほとんど見られずペプチド自身の凝集性の強さを銅イオンがより増強していると考えれた。なお、添加している銅イオンの濃度ではプロテアーゼKを直接妨害しないことは昨年度に確認済みである。これらのことからプリオンタンパク質が糖鎖修飾されない場合、その凝集性の増加するという既知の報告の裏付けられる。 アポトーシス誘導についての検討では、昨年と同様にA172細胞を用いてカスパーゼ3の分解を指標に行った。その結果、銅イオンの添加に関係なくアポトーシスを誘導する結果が得られた。一方で、iPS細胞由来神経幹細胞の誘導時点からペプチドを添加して神経細胞の発現においてアポトーシス誘導が起こるのかを観察しようとしたが、培地中でペプチドが凝集することや、ペプチドや銅の添加による刺激などの影響による細胞死が見られ条件検討が必要である。
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