2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of non platinum group carbon free cathode catalyst with using high-durability composite oxide and its functional analyses
Project/Area Number |
15K17899
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Research Institution | Kumamoto Industrial Research Institute |
Principal Investigator |
大城 善郎 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主任 (00636277)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属空気電池 / 正極 / 触媒 / 酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、二機能性(触媒機能/電子伝導性)を有する繊維状担体の高活性化要因を解析するため、1)放射光をもちいた精密結晶構造解析による酸素欠陥量の評価、2)本事業により確立したDamjanovicモデルによる電極反応解析、をおこなった。併せて、繊維状担体の耐久性も評価した。高活性化要因解析に用いた試料は、前年度までに最適化した合成条件をもとに繊維平均径は20 - 30 nmに制御し、試料合成時の異元素添加量のみを変化させた。電極反応解析では、4電子反応(酸素から水への理想的な反応)と2電子反応(途中で終わってしまう反応)との比率を評価することで、二機能性繊維状担体による寄与を定量評価した。以上の解析から、以下の知見を得た。 A.放射光による酸素欠陥量の評価:二機能性を有する繊維状担体の酸素欠陥量は、異元素添加量が5 vol%のときに極小化することを見出した。 B.Damjanovicモデルによる電極反応解析:酸素欠陥量が極小化した試料は、他の試料に比べ、対象反応が開始する電位近傍でも2電子反応より4電子反応の比率が顕著に高く、繊維状担体単身で主たる触媒としても機能することを明らかにした。 C.繊維状担体の耐久性評価:市販の測定系では評価できないほど、繊維状担体の高い耐久性が示唆された。 究極的な金属空気電池の高耐久化のため、本研究の理念として“正極全体での脱カーボン化”を掲げ、正極全てを化学的に安定な酸化物として開発してきた。3カ年に及ぶ開発過程では、繊維状担体の合成装置を独自に製造し、先行研究よりも1桁細いナノサイズ繊維状担体の合成を可能にした。繊維状担体のナノサイズ化により、担体中に酸素欠陥を形成させることで二機能性(触媒作用/電子伝導)を発現させた。以上、本研究で開発した革新的正極触媒により、電池全体での高耐久化を実現しうる。
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