2015 Fiscal Year Research-status Report
キチンナノファイバーの自己凝集メカニズムの解明と新規材料創製
Project/Area Number |
15K17908
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
長田 光正 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (70435402)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キチンナノファイバー / X線散乱分析 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.キチンナノファイバー凝集におよぼす物理条件の効果の解明 水中に分散したキチンナノファイバーの冷却過程での自己凝集を利用したブロック状材料の調製のため、温度、速度、時間などの冷却条件の効果を調べた。冷却の際の温度や時間によって、キチンナノファイバーの凝集により得られる固形物の硬度が変わることを確認した。冷却速度を調整し、得られるキチンブロックの硬度、空隙率、表面積、また再び水に浸した際の形状安定性を明らかにした。これにより、架橋剤を含まないキチンだけでできたブロック状の固体を作製した。また加熱によるキチンナノファイバー自己凝集を利用した材料の調製も行った。加熱時の昇温速度や時間などを制御することで、得られるキチンブロックの性状に与える効果を明らかにした。 2.キチンナノファイバーの自己凝集メカニズムの解明 高空間分解能X線散乱による水中に分散しているキチンナノファイバーの直接観察を行った。キチンナノファイバーの自己凝集には水中での状態が大きく影響しており、メカニズムの解明のため、乾燥や溶媒置換をせずに水に分散したナノファイバーを直接観察できる高空間分解能X線散乱測定が有効である。現在、測定データを解析しており、来年度以降、ファイバー径方向、ファイバー長方向、溶媒効果に関する情報から、水に分散したナノファイバーの微細構造を明らかにする。またキチン自体の物性の情報として、分子量とアセチル化度の測定も行い、これらのパラメーターが凝集力に与える影響も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は順調に達成できている。今年度予定していた1.キチンナノファイバー凝集におよぼす物理条件の効果の解明は、冷却および加熱の条件を変えた検討を終えている。また今年度と来年度で行う予定の2.キチンナノファイバーの自己凝集メカニズムの解明についても、高空間分解能X線散乱や、キチンの分子量とアセチル化度の測定は予定通り行えており、これらのデータを現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度測定した高空間分解能X線散乱のデータや、キチンの分子量とアセチル化度の結果から、引き続き「キチンナノファイバーの自己凝集メカニズムの解明」を行う。また来年度から、当初の予定通り「キチンナノファイバーを用いた薄膜キチンシートの作製」にも取り掛かる。シートの透明度などの性状の違いが生じる原因を明らかにするため、原料であるキチンナノファイバーの物性(分子量、ファイバー径、結晶性、アセチル化度)を評価する。
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Research Products
(6 results)