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2015 Fiscal Year Research-status Report

高分子電解質ブラシのイオン解離促進に向けたX線小角異常散乱法による構造解析

Research Project

Project/Area Number 15K17914
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

村上 大樹  九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (80588145)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords高分子電解質ブラシ / 対イオン分布 / X線小角異常散乱
Outline of Annual Research Achievements

高分子鎖の末端を固体表面に化学結合により固定した高分子の集まりは高分子ブラシと呼ばれ、表面に様々な化学的特徴を付与できることや、その高い耐久性から注目され、学術面からも実用面からも多くの研究が為されている。申請者は特に電荷をもった高分子電解質から成る高分子電解質ブラシに注目した。高分子電解質ブラシの最も大きな特徴として高密度の電荷が挙げられるが、これまでの研究からは高密度に合成された高分子電解質ブラシでは、水中においてすら密集した電荷間の反発によるエネルギー不安定を解消するために対イオンの大部分がブラシ内部に濃縮・局在化され、その電荷が打ち消された状態であることが分かっている。
本研究は「内部の極性基が充分な割合で解離し、その電荷特性を強く生かすことのできる高分子電解質ブラシを設計する」ことを最終目標とする。そのためにまず、高分子電解質中の高分子鎖やイオン分布の状態を正確に把握することが必須である。本研究では、特定の原子やイオンのみの情報のみを抽出することが出来る「X線小角異常散乱(ASAXS)法」を採用し、高分子電解質ブラシの内部や周囲で対イオンがどのように分布しているかを直接的に評価する。本年度はそのためのサンプル合成、また、濡れ性、表面構造などといった基礎的物性の評価を行った。ASAX実験は微粒子表面の高分子電解質に対して行うが、基礎評価は平面基板上のブラシに対して行った。特に最近の研究内容からは密度や温度条件によっては高分子ブラシが溶媒界面において均一でなく、水平方向に不均一に凝集しているという病像が得られている。このことは高分子電解質ブラシの電荷解離とも大きく関連するため、はじめに平面上のブラシ構造の原子間力顕微鏡による評価を重点的に実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

はじめに高分子電解質ブラシを平面基板上に作製し、濡れ性や界面構造の基礎評価を実施した。高分子電解質ブラシの構造評価過程において、原子間力顕微鏡を用いた表面構造観察により、高分子電解質ブラシがある密度、温度条件では水中において面内方向で微細な凝集構造を形成していることが明らかとなった。このことは高分子電解質表面でのブラシ密度が平均的に算出した場合とは異なっていることを意味しており、本研究の主題である対イオン分布にも大きく影響する要因である。言い換えれば、面内構造形成の有無はその後の対イオン分布解析の結果の解釈にも関わる重要な側面であるため、X線小角異常散乱(ASAX)実験に移行する前に、水中における面内構造形成の詳細について検討するための実験を実施した。そのため現在の進捗状況としては当初計画からはやや遅れているが、当初計画とは異なる新たな知見を得ることにも成功した。

Strategy for Future Research Activity

水中における面内微細構造形成に関して、本年度の研究で詳細の大概を明らかにするに至った。今後は当初研究計画にも計画しているように、微粒子表面に高分子電解質ブラシを作製し、X線小角異常散乱(ASAXS)実験を実施することでその内外での対イオン分布に関する情報を明らかとしていく。具体的にはまず、対イオンがClイオンである高分子電解質ブラシとBrイオンである高分子電解質ブラシを作製し、対イオン種の違いがイオン分に及ぼす影響について明らかにする。その後はブラシ密度を変化させたサンプルで実験を行っていくが、上述したように平面基板上で観察された面内微細構造形成が、ASAXS実験に用いる微粒子表面においても生じる可能性が高い。ASAXS実験結果のフィッティング解析中などにおいて、その点を考慮した考察を注意して進めていく必要がある。

Causes of Carryover

X線小角異常散乱実験を行うための機器設置費用(真空チャンバー;2000千円)を初年度に計上していたが、実施計画の変更により初年度の執行がなかったため未使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

機器設置費用として次年度に使用予定である。また実験施設に備え付けの既存機器の使用等により当初予定よりも安価で機器設置が行える予定であるので費用は十分である。大型機器設置以外にはその他物品費や成果発表経費に充てる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 2015

All Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 血液適合型高分子の界面特性解析2016

    • Author(s)
      村上大樹
    • Organizer
      繊維学会西部支部講演会
    • Place of Presentation
      九州大学(福岡県)
    • Year and Date
      2016-03-04 – 2016-03-04
    • Invited
  • [Presentation] 生体適合性高分子/水界面の構造解析と中間水理論の考察2015

    • Author(s)
      村上大樹,北原洋子、小林慎吾、田中賢
    • Organizer
      第37回日本バイオマテリアル学会大会
    • Place of Presentation
      京都テルサ(京都府)
    • Year and Date
      2015-11-09 – 2015-11-10
  • [Presentation] 生体適合性高分子/水界面の構造・物性解析2015

    • Author(s)
      村上大樹、小林慎吾、田中賢
    • Organizer
      九州大学先導物質化学研究所・九州シンクロトロン光研究センター合同シンポジウム
    • Place of Presentation
      サンメッセ鳥栖(佐賀県)
    • Year and Date
      2015-08-28 – 2015-08-28

URL: 

Published: 2017-01-06  

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