2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17924
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
片山 真祥 立命館大学, 生命科学部, 任期制講師 (90469198)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 反応分布 / リチウムイオン二次電池 / 電子伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン二次電池の電極反応が空間的にどのように進行しているのかを明らかにするために、オリビン型構造を持つリン酸鉄リチウム、層状構造を持つニッケル酸リチウム、およびスピネル構造を持つマンガン酸リチウムを正極活物質とするリチウムイオン二次電池正極を作製し、充放電過程における電極面内の反応分布をイメージングXAFS法を用いて解析した。リン酸鉄リチウム正極では電極内の電子伝導性が、またニッケル酸リチウム正極では被膜生成によるイオン伝導が原因となり不均一な反応分布が生じることが明らかになったが、マンガン酸リチウムについては低レート充放電では均一に反応が進行することが明らかとなった。その一方で、高速充放電過程での反応分布を時間・空間分解DXAFS法で追跡したところ、マンガン酸リチウム正極で低レートとは明らかに異なる挙動が観測された。これらの結果は、活物質の特性により電極反応の進行が空間的に大きく異なること、また反応分布の生じ方は充放電のレートに依存することを示しており、活物質の選択や充放電レートの設定に必要となる重要な知見である。本研究では、活物質の種類による反応分布の違いを明らかにすることと並行して、電池構造に由来する反応の偏りについても解析を行っている。電池内部には様々な抵抗成分が含まれているが、負極位置を調節したモデル電池についての解析から負極と正極の位置関係が反応の偏りを引き起こすことを突き止めた。この知見は電池セルの設計に重要な指針へとつながることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた二次元イメージングXAFSによる分布解析および時間分解測定が実施できた。一部解析できていないデータがあるものの、ほぼ順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
高速空間分解測定によって当初予想していた分布の緩和ではなく、充放電レートの違いによる分布の発生の違いが観測された。分布の時間変化は多くの興味深い情報を含んでいるため、詳細な解析を進める。また、電池構造に起因する反応の偏りは重要な因子であるため、当初の計画に加えて検討を進める。研究全体としては実施計画通りに遂行する。
|
Causes of Carryover |
電池作製にかかる消耗品の納期が、年度内に間に合わなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の進捗に影響はなかったため、次年度で予定していた物品の購入を行う。
|