2015 Fiscal Year Research-status Report
歪評価に立脚した局所的な水素凝集マッピング法の構築
Project/Area Number |
15K17930
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高桑 脩 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60633518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水素脆化 / 亀裂 / 応力拡大係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素は金属材料中に容易に侵入し,濃度勾配だけでなく応力場も駆動力として拡散・集積する(応力誘起水素拡散)。応力集中部に集積した水素はき裂発生・進展を顕著に助長し,材料強度を極端に低下させる。そのため,金属材料を水素環境中で利用する際には,水素の応力場に対する集積挙動を評価することが重要となる。しかしながら,既存の方法では実験的に局所部の水素集積量を評価することは困難である。例えば昇温脱離法では材料全体の水素量を知ることはできるがき裂先端など局所的に集積する水素量を補足することはできない。そこで従来より,数値解析により局所部の水素集積モデル(応力誘起拡散理論)が提唱されてきた。しかし,実現象を捉えるために実験的手法の構築が求められている。そこで本研究では申請者が明らかにした水素侵入による格子歪の変化(水素誘起歪と定義)をX線回折法により計測し,局所部の水素集積挙動評価に利用する。 H27年度はSUS316Lステンレス鋼の疲労き裂先端における水素誘起歪測定の条件最適化をまず実施し,条件選定後に疲労亀裂を導入した試験片に対して曲げ応力を付与した状態で水素添加を行った後,X線回折法により水素誘起歪を測定した。様々な応力場での水素凝集挙動を検証するため,亀裂長さおよび曲げ応力を制御して応力拡大係数を変化させた。これにより,以下のことを明らかにした。 1.亀裂先端の応力集中部(弾塑性境界近傍)に水素が凝集し,亀裂から離れた箇所の弾性応力場に比べて約二倍以上の水素誘起歪を検出した。 2.応力拡大係数を増大させるとすなわち,より激しい応力場を発生させると,水素凝集箇所は亀裂先端から離れ,水素誘起歪の最大値は減少するが,応力拡大係数を減少させると水素凝集位置はより亀裂先端に近くなり,水素誘起歪の最大値は上昇する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って27年度は亀裂先端での水素凝集挙動を水素誘起歪を測定することで評価できた。したがって当初の計画どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は研究計画に基づいて水素脆化抑止を目的として機械的表面改質を用いて表面層の応力場を制御して亀裂先端での水素凝集を緩和できることを実証する。
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Causes of Carryover |
少額であるが次年度使用額は今年度の研究を効率的に実施したことにより発生した未使用額であり,次年度に実施する実験に28年度予算と合わせて使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
表面改質処理のために必要な固定具を作製する予定である。
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Research Products
(3 results)