2017 Fiscal Year Research-status Report
生体の不確定性を取り扱う非線形確率有限要素法の開発
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15K17932
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
波田野 明日可 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20707202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体構造連成解析 / 医用画像 / 造影剤 / 血管 / 狭窄 |
Outline of Annual Research Achievements |
CTやMRIなど医用画像から臓器形状を取得し解析を行い,個人に合わせた治療の指針を導くなど解析を診断支援に活用するための試みが多く行われている.しかし画像境界の不鮮明さや物性値の不確定性など解析の入力値は不確定性が高い.不確定性の解析結果に及ぼす影響の評価が行われていないため,解析結果の精度は保証されていない.本課題では,狭窄を有する柔軟管に流れる拍動流を対象とした物性値や形状等入力の不確定性が解析結果に及ぼす影響の評価を行う. 当該年度は,狭窄血管における造影剤動態の評価を行った.狭窄の下流にははく離が生じることにより造影剤が必ずしも一様には行き渡らない.この現象を流体構造連成解析と,造影剤を流体現象に影響を及ぼさない移流する質点とみなした解析とを行い分析を行った.狭窄直後のはく離した領域ではどの条件でも大きく造影剤濃度が低下することが分かった.低い狭窄率では噴流が再付着した後の安定した流れにより下流の流体が一様に交換される一方で,高い狭窄率では拍毎の初期条件のわずかな違いによって噴流の方向が変化し,造影剤密度の高い流体によって置換される部分が大きく変化し,造影剤の粗密の再現性が低いことが分かった.また狭窄を偏心させた場合についても検討を行った.軸対称狭窄管では噴流が管中央を通り軸対称なはく離領域が生じるが,偏心狭窄管では狭窄後の噴流が大きく中央から逸れ,はく離領域の形状は大きく異なったものとなった.それに伴い狭窄直後の造影剤が疎となる部分も変化した.一方今回の検討の範囲では,狭窄率が等しい場合造影剤の分散には大きな影響を及ぼさなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,狭窄血管における造影剤動態の評価を行い医用画像に生じる狭窄由来の不確実性について検討を行った.当初の計画からみて,おおむね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では不確定性を持つ入力に対する解の分布を定量的に算出する手法を構築する.実験計画法と摂動法を組み合わせた方法を検討している.具体的には,まず実験計画法を用い不確定性を持つ変数空間に対し,粗くサンプル点を取り,各サンプル点に対し流体構造連成解析を行い,解析結果である3次元ベクトル場の時系列データセットを得る.このデータセットを特徴的なパターンに分類する.それぞれのパターンに対応する,不確定変数の範囲を求める.各パターン内で不確定入力変数に対する解の応答局面を求めることで,全体の詳細な解の統計的分布を定量的に求めることができると考える.
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