2015 Fiscal Year Research-status Report
表面エネルギーを考慮した微小構造体の力学理論の構築と形態制御への応用
Project/Area Number |
15K17934
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 航圭 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60619815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ぬれ性 / 表面エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微小構造体においては重力に対して液体のぬれが及ぼす表面張力の影響が大きくなることに着目して,ぬれ性による変形を利用した立体構造形成への応用を提案している.本年は,液面に浮かせた四角形の樹脂フィルムの中心部を糸で引き上げて円筒を形成することを目的に,樹脂フィルムの材質,面積,厚さを変えて変形の様子を観察した.結果,液面から離れた後の樹脂フィルムの形状は,面のまま,二つ折り,涙滴型の 3つに分類された.これらの分類について考察するため,簡易的なモデルを立ててフィルムの曲げによる弾性エネルギーと界面のエネルギーの大小関係を求めた.これにより,引き上げ後にフィルムの変形を維持できる寸法の範囲を算出し,実験結果と比較したところ,概ねモデル通りの分類となることを確認できた. 次に,フィルムの曲率を変数として弾性エネルギーを求め,その極小値により引き上げ後に形状を維持したときの曲率半径を導出した.これより,曲率半径はフィルムの弾性率,厚さと固液界面エネルギーによって決まることが明らかとなった.そこで,同じ材質,寸法のフィルムをプラズマ照射処理することによって固液界面エネルギーを大きくし,ぬれ性を向上させることによる曲率半径の変化を測定した.結果,プラズマ照射処理前に形状を維持できなかった厚さのフィルムでも涙滴型を形成できるようになった.しかし,形成された形状の曲率半径については,処理前後で大きな違いを見ることができなかった.固液界面エネルギーの変化が曲率半径に違いを出すほど大きくはなかったことが原因と考えられるが,固液界面エネルギーを精度よく測定することで確認する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,一年目に液架橋形状の導出とそれに基づく円筒形状のFEM計算を行う予定であったが,実験に必要な機器を揃えることができたため二年目に予定していた実験から先に取り組んだ.およその実験方法を確立できたことに加え,簡単な理論モデルに基づく評価にまで至っており,順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初一年目に予定していた液架橋形状の導出と円筒形状のFEM計算に取り組み,初年度に得た実験結果との比較により適宜修正しながら理論モデルの構築を目指す.
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Causes of Carryover |
年度中に大学の異動が決まったため,新しい研究環境のセットアップに向けて繰越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以前所属していた大学では材料物性値取得のための引張試験機を共有していたが,こちらには無いため購入を検討している.
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Research Products
(2 results)