2016 Fiscal Year Research-status Report
表面エネルギーを考慮した微小構造体の力学理論の構築と形態制御への応用
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15K17934
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 航圭 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60619815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ぬれ性 / 表面エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、液体へのぬれ性に伴う構造体の変形現象の観察を目的として、液面からのフィルム引き上げによる円筒形成実験を実施し、フィルムの寸法によって引き上げ後の形状が異なることを明らかにした。そこで今年度は、得られた実験結果を考察するため、固体表面へのぬれ性に伴う液体の運動と、構造体との変形を表す解析解の導出に取り組んだ。 これまでの成果として、二平板間の毛管現象に伴う平板の静的な変形量については解析解が得られていたため、まずはこのモデルにおいて液体の運動を考慮した形式を導出した。毛管現象による液柱の上昇を運動方程式で表し、液柱の上昇に伴うラプラス圧の変化から平板の変形量を更新しながら、数値計算を行った。この解析解の有効性を検証するため、毛管上昇速度、液体の種類、平板の寸法をパラメータとして実験を行った。結果、ある範囲内の毛管上昇速度においては、実験結果と解析解とおおよそ一致することを確認した。さらに、導出した液柱の運動方程式において、液柱の上昇速度が一定と見なせる場合には静的なつり合いを表す式へと変形することができる。流速がゼロの場合には、これまでに得られていた平板の静的な変形量を表す解析解と一致することから、流速に伴う粘性抵抗を含む形式へと拡張できたことになる。 二枚の平板間の毛管現象については液体の運動を考慮に入れた解析解を導出することができたため、今後はフィルムの引き上げ現象へと応用していくことを検討する。また、今回導出した解析解は、流速がある大きさ以上だと実験結果と一致しないことから、この原因についても明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目に実験結果の取得、二年目に解析的な考察を達成しており、当初計画していた通りの成果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、分子動力学計算による分子スケールへの応用に取り組む予定である。これまでの成果で、ミリメートルスケールにおいては表面エネルギーが及ぼす構造体の変形現象を表すことができており、さらにスケールを小さくした際の適用性について検証していく。
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Causes of Carryover |
予定した以上に旅費が必要となったため20万円立替えを行い、その残額が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画の通り、消耗品と旅費に使用予定。
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Research Products
(3 results)